研究課題/領域番号 |
18J20092
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 祐太 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 運動 / 変形 / 屈性 / 光 / 植物 / 葉 / 葉柄 / 顕微鏡 |
研究実績の概要 |
多くの陸上植物は外部刺激の方向に応じて、器官を曲げたりねじったりする。そのうち屈曲については精力的に研究が進められているが、ねじれ運動については不明な点が多く残されている。 本研究では、横から照射された光に応じて、光源の方向に葉身の向軸側を向けるようにねじれる、葉柄の運動のメカニズムの解明を目指す。 そのために重要なのが、3次元的に葉柄の細胞形状・遺伝子発現を観察する手法である。これについて、ライトシート顕微鏡を用いた観察方法を改良・確立した。またフリーソフトウェアMorphoGraphXのアドオンCellAtlas3Dを、非放射相称器官のデータを出力できるように改変してプラグイン化した。これにより、葉柄の維管束周辺部を除く全層の細胞で、体積・長さを測定することが可能となった。 この実験系を用いて、葉柄のねじれ運動が偏差成長によって起きているかどうか検証したが、光に応じた顕著な偏りは見られなかった。そこで、この結果は偏差成長がないという証拠になるのか、それともねじれを起こす細胞サイズの変化が非常に微小なために、この系では検出できないのかを考察することにした。 偏差成長によって葉柄がねじれていた場合の、最も大きく伸長した部位と最も伸びの少ない部位の長さの比を幾何学的に推定したところ、非常に微小で生じていたとしても検出が困難であると考えられた。 そこで、ねじれ運動への関与の考えられる遺伝子の発現パターンの観察に主眼を移すこととし、レポーターと変異体の掛け合わせを進めた。掛け合わせは現在までにほぼ完了し、現在観察を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ライトシート顕微鏡による観察法は予定通りに確立し、細胞サイズや遺伝子発現の測定・観察も順調に進んでいる。よって本研究の初年度の進捗は、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現パターンの観察を進め、葉柄の運動との連関を調べる。また、これらのパターン、運動の成因についても、網羅的遺伝子発現解析等を用いて検討する。
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