Lionheart-KOマウスでは心臓の大きさが小さい Lionheartのbinding partnerとしてPUR alphaというタンパク質を同定している。PUR alphaはその他のタンパク・DNA・RNAに結合することでその機能を制御する働きがあることが知られている。CDK4やRbに結合することで細胞増殖に関わることが報告されており、Lionheartでも細胞増殖に変化があるのではないかと実験を行った。心臓でのwestern blottingではKOマウスでRbのリン酸化が少ないことが分かった。また染色では線維芽細胞においてPCNA陽性細胞が少なく、KOマウスでは線維芽細胞の増殖能が低下していることが示唆された。またWTと比較し、KOマウスではSirius Red染色で線維化を定量したところ線維化が少ないことが分かった。線維芽細胞からの分泌因子により細胞肥大が関係あることが知られているのでその可能性について今後解明予定である。 LionheartのMyh6発現量制御機能解明 Lionheart KOマウスではTAC手術後に心機能が低下し、Myh6の発現量がRNAレベル・タンパクレベルで低下することが分かった。昨年度までの実験でLionheartはPUR alphaと結合することにより、PUR alphaとMyh6の結合を阻害しMyh6の発現量を上昇させる働きがあるのではないかと考えていた。今年度はRNA EMSAを行ったことでLionheartとPUR alphaの結合力がPUR alphaとMyh6の結合力よりも強いことが分かった。またKOマウスにアデノ随伴ウイルスを用いてLionheartを後天的に発現させる実験をおこなった。結果としてLionheartを発現させた群ではControl群と比較し、Myh6の発現量の増加と心機能の改善を認めた。
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