研究課題
本研究では、芳香族C-H結合官能基化反応において触媒活性を示すCp*Rh錯体(III)と、β-バレルタンパク質であるニトロバインディン(NB)とを組み合わせたバイオハイブリッド触媒(NB-Rh)の開発に取り組んでいる。令和2年度の主要な研究成果として、前年度に確立した新規ハイスループットスクリーニング(HTS)手法を活用し、指向性進化法(directed evolution)によるバイオハイブリッド触媒NB-Rhの改変に取り組んだことが特筆される。特に、ラット肝臓由来の脂肪酸結合タンパク質(FABP)のhelix-loop-helix(HLH)ドメインをニトロバインディンのβ-バレル構造へと導入したキメラ型タンパク質反応場を創出し、指向性進化法を適用することで、芳香族C-H結合官能基化反応において高い触媒活性を示すバイオハイブリッド触媒を開発することに成功した。指向性進化法により得られた本バイオハイブリッド触媒変異体は、芳香族C-H結合活性化を経由するアセトフェノンオキシムとアルキンの付加環化反応において、変異導入前と比較して40倍以上の触媒反応効率(kcat/KM)を示すことが判明した。また、本バイオハイブリッド触媒変異体において、基質であるアセトフェノンオキシムに対するKM値の大幅な減少が見られたことから、Cp*Rh(III)錯体を包括するHLHドメインをニトロバインディンへ導入したことで、活性中心の疎水性化合物との親和性が向上したことが判明した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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