研究課題
全身性強皮症における抗核抗体産生機序は未だに不明である。また、全身性強皮症のGWASでMHC class IIが最も強い疾患感受性を示すが、その生理学的意義も不明である。そこで、全身性強皮症の抗核抗体産生において、核内抗原と特定のHLA class IIアレルとの複合体形成が関与しているのではないかと考えた。核内抗原であるTopoisomerase Iが全身性強皮症の感受性HLA class IIアレルと結合し、細胞表面に輸送されることがわかった。また、核内抗原が小胞体内でHLA class IIと結合することもわかった。核内抗原の核外輸送経路解析のために質量分析を行い、核外で核内抗原と結合するタンパク質を網羅的に明らかにした。現在小胞体から細胞表面へのMHC class II・核内抗原複合体の詳細な輸送経路を検討中である。肺胞蛋白症は非常に希少な自己免疫疾患であり疾患感受性遺伝子も不明であったが、共同研究施設の研究により肺胞蛋白症とMHC class IIとの関係性が明らかになった。私たちはMHC class II・GM-CSF複合体が細胞表面に発現することを明らかにしたため、肺胞蛋白症発症の発祥機序を詳細に検討中である。MHC class II分子以外にも、ペア型受容体と呼ばれる活性化、抑制化受容体からなる受容体ファミリーが複数の自己免疫疾患に関連している。さらに、抑制化受容体は病原体の免疫逃避に用いられている。本研究室では、熱帯熱マラリア感染赤血球上のRIFINという分子が宿主の抑制化受容体であるLILRB1やLAIR1と結合することにより、宿主から免疫逃避していることを明らかにした(Nature. 2017, 2020)。さらに、抑制化受容体であるLILRB2と特異的に結合するRIFINも存在することを明らかにした(BBRC. 2021)。現在、さらなるRIFINの機能を詳細に検討中である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://immchem.biken.osaka-u.ac.jp