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2018 年度 実績報告書

小脳顆粒細胞における分裂方向と娘細胞の運命決定メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 18J20309
研究機関早稲田大学

研究代表者

足立 透真  早稲田大学, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2021-03-31
キーワード分裂面方向 / 運命決定 / 小脳顆粒細胞 / Msi1 / Atoh1 / Numb
研究実績の概要

本研究は、神経細胞の分裂後の運命はどのように決定されているのか、という命題を解明するために、その運命の決定に、母細胞の分裂面方向が重要な因子として影響を及ぼしているのではないかという仮説に基づいて、小脳顆粒前駆細胞を用いて行われている。本年度の研究によって、小脳顆粒前駆細胞の分裂面方向と娘細胞の運命の相関を示唆する結果がこれまで以上に確認され始めてきた。小脳顆粒前駆細胞はその存在する位置と、分化状態がリンクした細胞であるが、小脳顆粒前駆細胞の分裂面方向と、分裂後の移動方向の間に相関があるということが、この一年の研究によって、明確化した。また、これまでの研究から、分裂後の二つの娘細胞の間で、転写因子Atoh1が不均等に局在することはわかっていたが、それ以外に、Numbタンパク質が不均等に局在することも明確に示すことができた。これまでの研究から、Atoh1タンパク質の不均等な局在は、Msi1タンパク質による不均等な翻訳が原因ではないかということが示唆されていたが、Numbタンパク質もまた、Msi1タンパク質によって翻訳抑制されることが知られている因子である。この研究結果は、Msi1タンパク質によるAtoh1、Numbなどの複数のタンパク質の不均等な翻訳が、小脳顆粒前駆細胞の分裂後の運命を決定づけている因子である可能性を示唆する結果であると考える。
また、第41回分子生物学会と次世代脳プロジェクト 冬のシンポジウムにて、学会発表を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年行うことを予定していたAtoh1-fusion-GFPやKi67-fusion-RFPmouseを用いた、Time Lapseによる分裂後の運命の明確化が、mouseの繁殖時にトラブルがあったことや、genotypingの手法の確立に時間がかかったことから、成功しなかった。本研究において、分裂後の運命を、染色なしに視覚的に捉えることのできるこのマウスは非常に重要なので、あと数ヶ月の間に繁殖を成功させて、データを取ることを目指している。

今後の研究の推進方策

上述した通り、Atoh1-fusion-GFPやKi67-fusion-RFPmouseを用いた、Time Lapseによる分裂後の運命の明確化を目指す。また、既に我々の研究から、分裂時に不均等に局在するタンパク質は確認され始めているが、不均等に局在するタンパク質、mRNAをRNAseq、Proteomicsを用いて網羅的に調べることも、チャレンジングではあるが、現在トライをしている。具体的には、急速冷凍した小脳をスライスし、30minほどで済む特殊な方法で免疫染色を行う。Horizontalに分裂している細胞のPia側の細胞、IGL側の細胞を切り出してきて、それぞれをサンプリングして、RNA-seqとProteomicsを行うことを目指している。この方法は、分裂時に不均等に局在するmRNAやタンパク質を網羅的に解明することができるため、成功すれば非常に強力なデータになりうる。遺伝子改変マウスを用いて、「分裂面方向と娘細胞の運命の相関」を明確な形で示し、Atoh1やMsi1、Numbの研究を進めつつ、このチャレンジグな実験にも、次の一年はトライしていきたいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 小脳顆粒細胞における分裂面と娘細胞の運命決定メカニズムの解析2018

    • 著者名/発表者名
      足立透真、宮下聡、井上貴文、星野幹雄
    • 学会等名
      第41回分子生物学会年会
  • [学会発表] 小脳顆粒細胞における分裂面と娘細胞の運命決定メカニズムの解析2018

    • 著者名/発表者名
      足立透真、宮下聡、井上貴文、星野幹雄
    • 学会等名
      次世代脳冬のシンポジウム 2018

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公開日: 2019-12-27  

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