研究課題/領域番号 |
18J20409
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鳥越 祥太 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
キーワード | C型レクチン受容体 |
研究実績の概要 |
1.結核菌に対する免疫応答におけるヒトMICLの抑制機能 昨年度樹立したヒトMICLトランスジェニックマウスを用いて、骨髄から樹状細胞を誘導し、結核菌で刺激した。すると野生型と比較して、ヒトMICLを発現する樹状細胞では炎症性サイトカイン産生が減弱した。このことから、ヒトMICLが結核菌に対する宿主免疫応答を抑制している可能性が示唆された。 2.結核菌を認識する新規結核菌受容体の同定 結核菌親水性成分を含む熱水抽出物には、免疫賦活作用があることが知られているが、その作用を担う受容体に関しては、いまだ不明な点が多く残されている。そこで親水性成分を認識するヒトMICLと同じC型レクチン受容体の中に、活性化作用を担うものがあるのではないかと推測し、GFPレポーター細胞を用いて、MBCLが結核菌親水性成分を認識することを明らかにした。ヒトMICLに加えて、結核菌親水性成分を認識する新規の受容体を発見した。 3.結核菌に対する免疫応答におけるMBCLの寄与 結核菌感染時におけるMBCLの機能を調べるために、Crispr-Cas9 systemを用いてMBCL欠損マウスを樹立した。この欠損マウス由来の樹状細胞を用いて、結核菌ならび精製成分で刺激すると、野生型に比べて、炎症性サイトカイン産生や共刺激分子の発現が低下した。さらに樹状細胞とOT-II T細胞を共培養し結核菌成分で刺激する系で、獲得免疫誘導能を調べたところ、MBCLが欠損するとその誘導が減弱した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度樹立したヒトMICL発現マウス由来の樹状細胞を結核菌で刺激を行うと、野生型と比べて、誘導される炎症性サイトカイン産生が低下することがわかった。 このヒトMICLに加えて、C型レクチン受容体の1つであるMBCLが結核菌由来の親水性成分を認識することを明らかにした。MBCL欠損マウスを作製し、そのマウス由来の樹状細胞を結核菌で刺激すると、炎症性サイトカイン産生や共刺激分子の発現が減弱した。さらに樹状細胞とOT-II T細胞との共培養の系を行うと、結核菌親水性成分によって引き起こされるTh1型の免疫応答惹起にMBCLが寄与することがわかった。 抑制型受容体であるヒトMICLは、結核菌に対する宿主免疫応答に抑えている可能性が示された。さらに結核菌の親水性成分を認識する新たなC型レクチン受容体としてMBCLが同定され、その機能も明らかになりつつある。以上より、進展は期待通りであり、来年度以降の研究が期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
1.結核菌感染に対する生体防御におけるヒトMICLの機能解析 野生型ならびにヒトMICLを発現するマウスを用いて、結核菌感染実験を行うことで、 in vivoにおけるヒトMICLの機能解析を行う。
2.結核菌感染に対する生体防御におけるMBCLの機能解析。 野生型ならびにMBCLを欠損したマウスを用いて、結核菌感染実験を行うことで、in vivoにおける機能を解析する。
|