ATG9小胞はオートファゴソームの膜起源である。オートファゴソーム形成場へのATG9小胞のリクルートについて、独立した2つの経路が存在することを採用2年目までに明らかにしてきた。それぞれの分子機構や生理的意義について更なる解析を行った。 一つ目のATG9リクルート経路は、オートファジーの始動に重要なULK複合体の構成因子ATG13に依存したものである。この経路には、ATG13のHORMAドメインおよびATG9AのC末端が必要であり、ATG9A全長とATG13 HORMAが相互作用することを見出してきた。これらの結果からATG9AのC末端がATG13 HORMAと相互作用する可能性が考えられたが、ATG9AのC末端はATG13 HORMAとの相互作用に十分でないことがわかった。 もう一つのATG9小胞リクルート経路は、ポリユビキチン選択的オートファジーアダプターNBR1、OPTN、TAX1BP1に依存する経路である。そのうちTAX1BP1に注目して更に解析し、TAX1BP1のコイルドコイル領域がATG9小胞リクルートに重要であることをこれまでに見出してきた。採用3年目にはTAX1BP1コイルドコイル領域結合因子の網羅的探索を行い、ATG9小胞上に局在するタンパク質を同定した。そのタンパク質とFIP200の二重欠損細胞を作製すると、ATG9小胞のポリユビキチン選択的オートファジーアダプターへのリクルートは部分的だが有意に減少していることがわかった。さらに、そのタンパク質はTAX1BP1へのATG9小胞リクルートにのみ重要であり、他の2種類のアダプターNBR1およびOPTNへのATG9小胞リクルートには重要でないことがわかった。以上の結果から、ATG9小胞タンパク質とTAX1BP1の相互作用がTAX1BP1へのATG9リクルートに寄与していると考えられた。
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