現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験に向けた検出器開発を行った。本研究で使用する検出器の中で、申請者は鉛ガラスカロリメータを担当している。本年度は鉛ガラスカロリメータの実機製作に向けて、主に読み出しに使用する光電子増倍管の開発と試験を行い、本実験での使用を可能な状態にした。その上で、年度の後半にはカロリメータ実機の製作を開始し、現時点でカロリメータ2モジュールの製作が完了している。これはスペクトロメータの方位角15°-45°、仰角±15°を覆う実機である。次年度初頭で残りの4モジュールの実機製作を行い、2019年6月にはスペクトロメータの方位角15°-105°、仰角±15°を覆う鉛ガラスカロリメータをスペクトロメータ中に設置する予定である。本年度行った研究に関して、具体的に述べる。本実験においては、ベクター中間子の電子・陽電子対への崩壊を利用して質量スペクトラムを測定する。鉛ガラスカロリメータを電子識別に使用し、以下のような特徴的な環境において動作させる。 1, 高計数率(最大1MHz/1読み出し) 2, 磁場(数100mT) 1, 2, のような環境下ではカロリメータに使用する光電子増倍管の増幅率や入射光量に対する線型性が損なわれる可能性がある。したがって、光電子増倍管のテストおよび改良を行い本実験での使用に堪えるものを250本ほど製作した。 また、カロリメータ実機を支える架台の設計も進め、本実験で必要な全てのカロリメータ用の架台の詳細なデザインを決定した。架台の各部位が最大4tの鉛ガラスの重量を支えることができるように設計しており、年度後半より架台の製作を進め、1/3を既に完成させた。
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