研究課題/領域番号 |
18J20657
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 康行 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 電子デバイス・機器 / センシングデバイス / 撮像素子 / 吸光イメージング / 横型オーバーフロー蓄積トレンチ容量 / 近赤外光 / 高飽和 |
研究実績の概要 |
高精度な吸光分析を2次元画像として実現するために、高いSNRと、紫外から近赤外の広光波長帯域における高い量子効率を同時に実現するCMOSイメージセンサを開発すること、また、その応用として非侵襲での血糖値測定の基礎技術を確立する研究に取り組んでいる。 CMOSイメージセンサに関しては、約24fF/um2の容量密度かつ低リーク電流なトレンチ型キャパシタと低濃度p型基板を用いた190~1100nmの広光波長帯域において高い量子効率を有するフォトダイオードを集積する設計基準を明らかにし、原理確認用CMOSイメージセンサの設計・試作を行った。約24fF/um2の容量密度かつ低リーク電流であることを実測で得た。また、低濃度p型基板を用いたフォトダイオード技術により、波長860nmで約90%、940nmで約78%、1050nmで約27%の高いフォトダイオード量子効率を得た。CMOSイメージセンサの特性として、約2400万電子の飽和電子数、71dBのSNRを実測で得た。また、更なる高感度化の為、画素へオンチップマイクロレンズ導入を光学シミュレーションにより検討し、改善効果を見積もった。さらに、原理確認用CMOSイメージセンサの測定結果をもとに、1次試作センサの設計を行った。 吸光イメージングシステムに関しては、光源及び放熱機構を改良することで、測定精度を向上した。本システムを用い、グルコース溶液を溶解した生理食塩水の検量線取得に成功した。 非侵襲血糖値測定に向けては、まず、グルコースを溶解した血液の吸収スペクトルを測定し、近赤外領域において、グルコース濃度と光吸収の相関を見出した。また、血管内の血液を模擬した測定系を構築し、グルコースを溶解した血液を流し、検量線を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高容量密度・低リーク電流な画素内電荷蓄積キャパシタと低濃度p型基板を用いた190~1100nmの広光波長帯域において高い量子効率を有するフォトダイオードを画素内に集積する設計基準を明らかにし、計画に先駆けて原理確認用CMOSイメージセンサの試作を行った。測定結果より課題を抽出し、1次試作センサの設計・試作に着手した。吸光イメージング応用に関しては、光源の改善により測定精度を向上し、非侵襲血糖値測定に向け、血液を用いた原理確認実験に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に設計を行った1次試作センサを試作し、特性を測定する。1次試作センサの課題を抽出し、2次試作センサの設計を行う。非侵襲血糖値測定に向けては、模擬生体を導入することで、実際の人体での測定を見越した測定系を構築し、実験を進める。
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