研究実績の概要 |
1. 連続培養系での窒素および酸素同位体分別の測定 3種類のアナモックス細菌(海洋性の “Ca.Scalindua japonica”,淡水性の“Ca. Brocadia sinica”および“Ca. Jettenia caeni”)を、膜分離型連続培養リアクターを用いて高度に集積培養し、NH4+→N2, NO2-→N2, NO2-→NO3-の反応の窒素同位体分別(15ε)、および未だに世界で報告例のないNO2-→NO3-の見かけの酸素同位体分別(18E)を求めた。それらの研究成果を論文にまとめ、昨年5月にThe ISME Journal(IF=9.493)に論文が受理された。(Kobayashi et al., 2019, The ISME journal 13, 2426-2436(2019))
2. 回分培養系での酸素同位体分別の測定 酸素同位体分別は、窒素同位体分別を求めるよりもさらに複雑であり、現在アナモックス細菌の酸素同位体分別の報告例はない。複雑な理由としては、アナモックス反応では以下の5つの反応(1.亜硝酸還元反応、2.亜硝酸酸化反応、3.亜硝酸酸化時の水の酸素の取り込み、4.亜硝酸酸化に関わる酵素が、硝酸還元をする働きもあるためにおこる硝酸還元反応、5.非生物的な水と亜硝酸の酸素の交換)が同時に起こるためである。これらを求めるために、水の酸素安定同位体比を変化させた回分培養実験を実施し、数値計算モデルを開発し個々の分別を計算した。結果をまとめ、昨年10月に中国の厦門で開催された、国際学会6th International Conference on Nitrification and Related Processesにて口頭発表し、ICoN6 Financial Support for Outstanding Students Abstractを受賞した。
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