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2019 年度 実績報告書

アナモックス細菌の窒素・酸素同位体分別の解析:海洋窒素循環への寄与の推定

研究課題

研究課題/領域番号 18J20742
研究機関北海道大学

研究代表者

小林 香苗  北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2021-03-31
キーワードアナモックス細菌 / 安定同位体比 / 窒素同位体分別 / 酸素同位体分別 / 窒素循環
研究実績の概要

1. 連続培養系での窒素および酸素同位体分別の測定
3種類のアナモックス細菌(海洋性の “Ca.Scalindua japonica”,淡水性の“Ca. Brocadia sinica”および“Ca. Jettenia caeni”)を、膜分離型連続培養リアクターを用いて高度に集積培養し、NH4+→N2, NO2-→N2, NO2-→NO3-の反応の窒素同位体分別(15ε)、および未だに世界で報告例のないNO2-→NO3-の見かけの酸素同位体分別(18E)を求めた。それらの研究成果を論文にまとめ、昨年5月にThe ISME Journal(IF=9.493)に論文が受理された。(Kobayashi et al., 2019, The ISME journal 13, 2426-2436(2019))

2. 回分培養系での酸素同位体分別の測定
酸素同位体分別は、窒素同位体分別を求めるよりもさらに複雑であり、現在アナモックス細菌の酸素同位体分別の報告例はない。複雑な理由としては、アナモックス反応では以下の5つの反応(1.亜硝酸還元反応、2.亜硝酸酸化反応、3.亜硝酸酸化時の水の酸素の取り込み、4.亜硝酸酸化に関わる酵素が、硝酸還元をする働きもあるためにおこる硝酸還元反応、5.非生物的な水と亜硝酸の酸素の交換)が同時に起こるためである。これらを求めるために、水の酸素安定同位体比を変化させた回分培養実験を実施し、数値計算モデルを開発し個々の分別を計算した。結果をまとめ、昨年10月に中国の厦門で開催された、国際学会6th International Conference on Nitrification and Related Processesにて口頭発表し、ICoN6 Financial Support for Outstanding Students Abstractを受賞した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時に計画していた、連続培養系での3種のアナモックス細菌の窒素同位体分別と見かけの酸素同位体分別(18E:亜硝酸酸化の酸素同位体分別、および水の取り込みの酸素同位体分別の和)を求めることに成功し、昨年結果をまとめた論文が受理された。また、2つめに計画していた、回分培養系を用いた酸素同位体分別を求める実験についても、培養実験を全て完了し、サンプルの測定も全て完了することができたので、順調に進展していると認識している。

今後の研究の推進方策

昨年度は概ね計画どおりに研究が進展したので、今後も、申請時に計画に従って研究を進展させる。今後は、第二の目的である世界初海洋性アナモックス細菌“Ca. Scalindua sp.”の酸素同位体分別を決定する。既に行った水の酸素安定同位体比を変化させた回分培養実験のデータを統計解析ソフトRを用いて数値計算モデルを開発し計算し、決定する。また、既に行った実験の中で、結果を考察し追加実験が必要なものに関しては、順次再実験を行っていく。そして、それらの結果をまとめて論文を執筆する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] スタンフォード大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      スタンフォード大学
  • [雑誌論文] Dual nitrogen and oxygen isotope fractionation during anaerobic ammonium oxidation by anammox bacteria.2019

    • 著者名/発表者名
      Kanae Kobayashi, Akiko Makabe, Midori Yano, Mamoru Oshiki, Tomonori Kindaichi, Karen L. Casciotti and Satoshi Okabe
    • 雑誌名

      The ISME Journal

      巻: 13 ページ: 2426 2436

    • DOI

      https://doi.org/10.1038/s41396-019-0440-x

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 海洋性アナモックス細菌“Ca. Scalindua sp.”の窒素および酸素同位体分別の解析2020

    • 著者名/発表者名
      小林香苗, 福島慶太郎, 大西雄二, 仁科一哉, 眞壁明子, 押木 守, 金田一智規, 木庭啓介, 岡部 聡
    • 学会等名
      第54回日本水環境学会年会
  • [学会発表] 嫌気性アンモニア酸化細菌“Ca. Scalindua sp.”の酸素同位体分別の解析2019

    • 著者名/発表者名
      小林香苗, 福島慶太郎, 大西雄二, 眞壁明子, 矢野翠, 押木守, 金田一智規, 木庭啓介, 岡部聡
    • 学会等名
      日本微生物生態学会第33回大会
  • [学会発表] Dual nitrogen and oxygen isotope effects during anaerobic ammonium oxidation (anammox)2019

    • 著者名/発表者名
      Kanae Kobayashi, Keitaro Fukushima, Yuji Onishi, Kazuya Nishina, Midori Yano, Mamoru Oshiki, Tomonori Kindaichi, Keisuke Koba, Satoshi Okabe
    • 学会等名
      6th International Conference on Nitrification and Related Processes

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公開日: 2021-01-27  

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