研究課題/領域番号 |
18J20823
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長島 皓平 慶應義塾大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
キーワード | 政治思想 / 政治哲学 / 政治神学 / ジョルジョ・アガンベン / カール・シュミット / ヴァルター・ベンヤミン / ミシェル・フーコー / 世俗化 |
研究実績の概要 |
当該年度においては研究目的として掲げた政治神学について、大幅な進展を得ることができた。 これまで政治神学に関する研究はカール・シュミットの初期の著作にである『政治神学』に専ら関心が寄せられていたが、本年度の研究においてはシュミットと彼の同時代人であるエーリク・ペーターゾンとのあいだに生じた論争をもとにしたシュミットの最期の単行本である『政治神学Ⅱ』にまで研究の射程を広げることによって、政治神学を対象とする本研究において統治という視座を扱うことが可能になった。 当該年度においては、こうして政治神学と統治という視座からジョルジョ・アガンベンやミシェル・フーコーといった思想家らの思索を比較検討することで、それぞれの政治思想的意義を明らかにするとともに、福祉国家論や新自由主義といったアクチュアルな議論の思想的布置連関を検討した。 具体的には上述の政治神学を統治という視座から展開させた部分を、日本政治思想学会が刊行する 政治思想分野において規模と歴史において国内最大の『政治思想研究』誌に投稿し、査読を受けたのち採択された。 また、新自由主義などのアクチュアルな議論を踏まえ、フーコーとアガンベンの議論を政治神学という観点から再検討した研究をニューヨーク大学Deutsches Hausとの共催で行われた半世紀の歴史を誇り世界における政治神学研究をリードするTelos-Paul Piccone Instituteが主催するThe 2019 Telos-Paul Piccone Institute Conferenceにおいて査読を経て採択されたのちに報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究においては当初の計画どおりに進展しているといえる。 政治神学という研究テーマの発展可能性を明らかにすることに成功したと共に、ドイツのみならずヨーロッパ中における個別の研究と接合することを可能にする足がかかりを得ることができたためである。 その証左として国内における当該分野の最大の学術誌に研究成果が掲載されると共に、国際カンファレンスでの報告を通じてさらに研究投稿の招待をうけるなどした。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題については概ね計画どおりに推進する。 具体的には、研究課題の達成を目指すと同時に国内外の学術誌への掲載を狙うとともに、国内における学術大会での発表のみならず国際会議での報告機会があれば積極的に自身の研究の成果を問うていく。
|