研究課題/領域番号 |
18J20884
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
鷲尾 拓郎 東洋大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 脳循環 / 運動 / 椎骨動脈 / 後大脳動脈 / 動脈二酸化炭素分圧 |
研究実績の概要 |
運動時における脳血流応答は、脳神経活動、脳代謝、脳血流の調節機能である脳自己調節機能、動脈二酸化炭素分圧、自律神経活動、体循環などの脳循環調節因子の影響を受けることが報告されている。しかしながら、これら脳循環調節機能に関する先行研究の知見は、主に脳前方循環系を調査したものであり、脳後方循環系の各脳血管の循環調節機能は未だ明確でない。さらに、運動時の脳血流応答は、脳前方および後方循環系の間で異なり、この血流応答の違いは、脳循環調節機能の差異が影響している可能性が考えられる。そこで本申請研究では、脳後方循環系における生理メカニズム及びその生理学的意義を解明することを目的とした。具体的には、以下に示す研究活動を展開した。 静的把握運動が脳後方循環系の脳循環調節機能、特に脳二酸化炭素感受性および脳自己調節機能に及ぼす影響を調査し、脳前方循環系と比較・検討した。その結果、静的把握運動時において、脳後方循環系である後大脳動脈の血流速度は増加したにもかかわらず、脳前方循環系である中大脳動脈の血流速度は変化しなかった。したがって、運動時、脳前方および後方循環系の血流応答は異なることが示された。それにもかかわらず、脳二酸化炭素感受性および脳自己調節機能は同様の応答を示した。これらの知見から、運動時に引き起こされる局所的な脳血流応答の差異は、脳血管二酸化炭素感受性および脳自己調節機能に起因しない可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画に通り、今年度に行う実験は終了し順調に進展している。しかしながら、次年度に行う予定である実験の準備が新たな手法を用いて行うためにやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度行った実験のデータをまとめ論文掲載を目指す。次年度も引き続き、自律神経活動が脳循環、特に脳後方循環系に及ぼす影響を検証していきたい。
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