研究課題/領域番号 |
18J20914
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三代川 夏子 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 戦後日本外交 / 二つの中国 / 日華関係 / 日台関係 / 親台湾派 / 親中国派 / 自民党 |
研究実績の概要 |
昨年度までの調査から得た成果より、本年度は、冷戦構造下での自民党政治と戦後アジア外交の関係を見る上で、非公式なチャネルを含む日本と中華民国との関係についてよりフォーカスを当てた調査を行いつつ、戦後日本政治外交全体への理解を深めることで、その連関性を探った。 台湾には11月と3月の2度訪問し、中央研究院近代史研究所、国史館にて「外交部档案」などを収集、国立政治大学で国民党史料を閲覧した他、1970年代から1980年代に対日外交を担っていた中華民国の元外交官複数人へのインタビュー調査を行った。日本では外交史料館、国会図書館の他、自民党に関する公刊・未公刊史料を各大学・機関で収集した他、アメリカ外交文書、韓国外交史料も入手し検討を行った。これらにより、国交の有無に関わらず、いわゆる公式な外交ルートとは別に、中華民国政府と特定の自民党議員との間で、個人的な密接な繋がりを基に、日華を架橋するあらゆる組織が作られていたことや、自民党政治における対中華民国外交と対韓国外交との間に興味深い関連があることがわかり、具体的な検討を行った。 昨年度までの成果は北海道大学(Stock-Taking Seminar)にて報告を行い、それらまとめて一本の英語論文として完成させた。この内容を発展させた成果は東アジア近代史学会にて報告を行い、同分野の専門家からフィードバックを受けた。 その後は博士論文の完遂に向けて本格的な準備を開始した。1月には東京大学の政治史研究会にて博士論文の全体像を意識した研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の成果より、日台関係によりフォーカスを当てることが研究目的により有益となりうると判断したため、オンライン上など国内でも参照できる史料が増えた英国、アメリカ、韓国での現地調査よりも、日台での調査を優先的に行なうこととした。博士論文の構想が立ち、執筆に着手できる段階にあるという点で研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は博士論文の執筆、完遂を目指す。まず博士論文の一部となりうる、中華民国の対日外交政策に関する論文及び1970年代における「中国」問題が及ぼした日本政府・与党関係への影響について論文としてまとめる。 これまで収集した史料を基に、博論の全体構想を練りつつ、引き続き日台での当事者・その関係者を中心に、インタビューや史料の調査を行っていく。国内でも外交史料や自民党政治家に関する個人史料など、補充的に史料収集を行うと同時に、台湾外交部の関係者、自民党政治家などへのインタビューも徹底的に行う。 アメリカ、イギリス、韓国など、日本、中国、台湾以外の国・地域のアーカイブも可能な限り収集して検討を行なう。同時に、国際的な研究発表の機会を模索する。 以上の成果をまとめつつ、研究会や学会など、博論構想の報告機会を探す。 これらの研究の成果をまとめあげ、集大成として博士論文を提出する。
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