研究課題
[1] トポロジカル磁気構造間の相転移高圧合成法を用いて新規カイラル磁性体MnSi1-xGexの合成に成功し、組成xを変化させることでMnSiのスキルミオン格子がMnGeのヘッジホッグ格子へと変化していく様子を、ローレンツ電子顕微鏡、中性子回折実験、強磁場下での磁化・トランスポート測定を組み合わせることにより詳細に明らかにした。特に、中間組成(x = 0.4 - 0.6)では、四本の波数ベクトルで記述できるような新しいトポロジカル磁気構造が形成されている可能性を発見した。また、SiとGeの置換は実効的な圧力効果であるため、圧力によるトポロジカル磁気構造の制御にむけた重要な礎となることが期待される。[2]4d・5d系のB20型化合物の開発これまでB20型化合物は3d遷移金属元素を中心にトポロジカル磁気構造の研究が行われてきたが、よりスピン軌道相互作用の強い4d・5d電子系では新規な物性が発現することが期待される。現在、高圧合成法を用いて4d・5d電子系での新規トポロジカル物質の開拓を推し進めている。
1: 当初の計画以上に進展している
新規カイラル磁性体MnSi1-xGexにおけるトポロジカル磁気相転移の研究は、異なるトポロジカル磁気構造の間を、磁気構造観察・磁気輸送特性を組み合わせた多角的な観点から明らかにしたという観点で先例がなく、圧力による磁気構造のトポロジー制御にむけて重要な礎を築いたといえる。本研究はNature Communications誌に出版された。また高圧合成法を用いた4d・5d電子系のB20型物質の開拓やその物性測定も順調に進んでおり、順調に研究が進展しているといえる。
今後は現在開発中の4d・5d電子系のB20型化合物で、磁化測定・磁気輸送特性・熱電測定などを行いたいと考えている。
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Nature Communications
巻: 10 ページ: 1-8
10.1038/s41467-019-08985-6