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2019 年度 実績報告書

細胞内共生細菌ボルバキアが宿主へ及ぼす影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18J21090
研究機関千葉大学

研究代表者

宮田 真衣  千葉大学, 園芸学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2021-03-31
キーワード細胞内共生細菌 / 共生微生物 / ボルバキア / 生殖操作
研究実績の概要

キタキチョウ(以下、キタ)とミナミキチョウ(以下、ミナミ)には、2系統のボルバキア(wCIとwFem)が感染し、wCI単感染個体では細胞質不和合、wCI・wFem重複感染個体ではメス化が起こっている。今年度は以下の調査と実験を行った。
(1)ミナミの野外の性比とボルバキア感染状況の調査
2015年から石垣島で野外の性比およびボルバキア感染状況の調査している。今年度も4月と10月に調査を行った。石垣島では、2008年から2016年まで0-2%と低頻度であったメスのwFemの感染率が、2017年から増加に転じ、今年度は46.2-47.5%まで上昇した。加えて、これまで1:1程度であった野外の性比が、2019年の2回の調査ともメスの比率が67.2-74.0%とメスに偏っていることが明らかとなった。また、沖縄本島と与那国島においても野外性比およびボルバキア感染状況の調査を行ったところ、どちらの島もwFem感染個体は確認されず、性比もオスに偏っていた。このことから、石垣島で起きている急速なwFemの感染拡大は、琉球列島の各島で起こっているのではないことが考えられた。
(2)ボルバキア感染が2種のキチョウのmtDNAへ及ぼす影響
これまで結果から、ミナミからキタへwCIとwFemが侵入した際にmtDNAもミナミからキタへ侵入し、この遺伝子浸透は少なくとも2回起こったことが分かっている。今年度は、日本各地から採集したキタとミナミのサンプルを加えて、mtDNAの分子系統解析を行った。その結果、これまでミナミのmtDNAと考えられていた配列とは種レベルで異なった配列を持つミナミが存在した。この結果から、これまで少なくとも2回と考えられていた遺伝子浸透は、少なくとも3回は起こっていたと考えられる。加えて、2種のキチョウで起こっていたと考えられていた遺伝子浸透に第3の種が関わっている可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画において、2年目までに予定していた実験は完了している。また、論文も投稿することが出来た。これらのことから、おおむね順調に進展しているものと考えている。

今後の研究の推進方策

3年目は、キタキチョウのボルバキア非感染個体・wCI単感染個体・wCI・wFem重複感染個体のRNA-seqを行う予定である。また、1-2年目に行った実験のデータを論文としてまとめ、投稿予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Persistence of a Wolbachia-driven sex ratio bias in an island population of Eurema butterflies2020

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Kageyama, Satoko Narita, Tatsuro Konagaya, Mai Miyata, Jun Abe, Wataru Mitsuhashi and Masashi Nomura
    • 雑誌名

      biorixv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      https://doi.org/10.1101/2020.03.24.005017

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 石垣島におけるミナミキチョウの性比と共生細菌Wolbachiaとの関係2020

    • 著者名/発表者名
      宮田真衣,野村昌史,陰山大輔
    • 学会等名
      第64回 日本応用動物昆虫学会

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公開日: 2021-01-27  

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