(1) 培養扁平上皮癌細胞株SCCVII細胞にLP-ICG-C18を添加後、細胞内外でそれぞれ一重項酸素反応検出可能な試薬を添加、30mW/cm2程度の近赤外光レーザー(808nm)を照射したところ、細胞表面付近で比較的強く蛍光呈色したことから、リポソーム化したLP-ICG-C18による光線力学作用に基づいた一重項酸素由来の細胞障害性は主に細胞外にあることが明らかとなった。 (2) 粒子表面の荷電特性が顕著に異なるキャリアで、センチネルリンパ節生検で用いるスズコロイド(SnC)はICGと会合した場合、粒径・ゼータ電位ともに不安定化するが,アルブミン存在下で安定化・粒径増大した。特にSnCのゼータ電位は強い正の荷電特性を示し、ICGもしくはアルブミンなどを配合することで中性~負の荷電特性を示した。SDラットの下肢リンパ系動態解析では,一次リンパ節(膝窩リンパ節)における投与18時間後の蛍光集積はICG水溶液よりもSnC-ICGの方が高く、放射性集積も99mTcラベルSnCよりも99mTc-SnC-ICGの方が有意に高かった。よってトレーサーの粒径及び表面荷電特性がリンパ移行性と滞留性に強く関連するものと考えられた。 (3) SCCVII細胞を同型のC3H/HeNマウス皮下に移植後、腫瘍径3mm程度の時点でLP-ICG-C18を静注、BCG-CWSを腫瘍部に局注し、近赤外光レーザーで腫瘍部を照射した。腫瘍径は両薬剤投与・処置を全て行なった群で最も抗腫瘍作用が見られたが、薬剤投与、もしくはレーザー照射のいずれかを行わない群との比較で光線力学療法と非特異的免疫療法の相乗的な有意差は見られなかった。また免疫組織化学染色を用いた検討でも細胞分画に差が認められなかった。
|