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2019 年度 実績報告書

磁気-光相関物性を有する発光ラジカルナノワイヤの創製

研究課題

研究課題/領域番号 18J21163
研究機関東京大学

研究代表者

木村 舜  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2021-03-31
キーワードラジカル / 発光 / エキシマー / 磁場効果 / 二重項
研究実績の概要

本研究は安定発光ラジカルを錯形成反応により一次元集積し、発光性ラジカルナノワイヤを合成すること、さらに閉殻分子では実現が困難な新奇磁気-発光相関特性を創出することを目的とする。
本年度はまず、昨年度報告した光安定ラジカルPyBTMラジカルを分子結晶中にドープしたサンプルにおける磁場依存発光特性についてより詳細に調査した。具体的にはサンプルの磁場下における発光寿命測定およびその温度依存性・ドープされたラジカルの濃度依存性を測定することにより、現象のメカニズム解明に取り組んだ。得られたデータを量子化学的シミュレーションと組み合わせて解析を進めた結果、本現象は外部磁場による基底状態のスピン状態が大きく関わっていることが明らかになった。これは磁場により励起状態のスピン状態変換速度が変調することで実現される既存の系と明確に異なるメカニズムであり、ラジカルの磁場依存発光特性を設計するにあたり重要な指針を与えるものである。
次に、発光ラジカルを配位子にもつ金属錯体における発光の磁場効果を実現することを目的として、PyBTMとビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)亜鉛(II)からなる金属錯体を合成し、これを分子結晶中にドープしたサンプルを調整した。このサンプルの磁場下における発光特性を調査したところ、PyBTMラジカルをドープしたサンプルと同様に、①モノマー発光とエキシマー発光の2種類が確認されること、②これら2種類の発光の強度が外部磁場の印加により変調されることが明らかになった。本成果は発光ラジカルの磁場依存発光特性が金属イオンとの錯形成により阻害されないことを表しており、低次元錯体系への展開へ重要な意義を持つ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要に記載の通り、本年度はラジカルにおける磁場応答する発光特性のメカニズムの解明、錯体系における発光の磁場効果という二点を達成し、磁場応答する発光性ラジカルナノワイヤの作成に向けて重要な知見を多く得ることが出来た。このことから、本課題は順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

本年度の研究により明らかになった知見を基にラジカルナノワイヤの物質設計・合成を行う。さらに、その光物性について多角的に調査し、機能性ラジカルナノマテリアル群の合成に取り組む。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] An organic radical with three pyridyl groups: luminescence properties and its two dimensional complexes2020

    • 著者名/発表者名
      Shun Kimura, Tetsuro Kusamoto, Hiroshi Nishihara
    • 学会等名
      日本化学会第100回春季年会
  • [学会発表] Magnetic field effect on the luminescence of stable radicals in a rigid environment2019

    • 著者名/発表者名
      n Kimura, Tetsuro Kusamoto, Shojiro Kimura, Ken Kato, Yoshio Teki, Hiroshi Nishihara
    • 学会等名
      Spin Chemistry Meeting 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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