研究実績の概要 |
一次繊毛形成を制御する新規Rabとして同定したRab34のさらなる機能解析を行うため、一次繊毛形成におけるRab34の働きに重要な領域をより詳細に検討した。これまでに得られた結果から、Rab34の働きには他のRabには存在しない特徴的なN末端側の配列が重要であるということを見出している(J. Biol. Chem., 2020)。そこで本年度は、新たにRab34のN末端側を削った2つの変異体を作製し、Rab34のノックアウト細胞を用いてレスキュー実験を行った。その結果、N末端6アミノ酸を削った変異体ではシリア形成が回復したのに対し、18アミノ酸を削った変異体ではレスキュー効果が認められなかった。すなわち、N末端から7から18番目のアミノ酸の中に一次繊毛形成に重要なアミノ酸配列が存在すると想定されたことから、さらにこの領域に部位特異的アミノ酸置換(アラニンへ置換)を施し、同様なレスキュー実験を行った。変異体の解析の結果、16から18番目のアミノ酸をアラニンに置換した変異体でのみレスキュー効率の低下が見られ、これらのアミノ酸がRab34の一次繊毛における働きに重要であることが強く示唆された(Small GTPases, 2021)。以上の研究成果は2報の国際誌に発表されており、期待以上の研究の進展があったと判断できる。
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