研究課題/領域番号 |
18J21256
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小田 和正 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | チャネルロドプシン / 構造生物学 / Chrimson |
研究実績の概要 |
チャネルロドプシン(ChR)は発色団であるレチナールを有し、光を受容することでイオンを受動的に輸送する光駆動型イオンチャネルである。この特性から、ChRを神経細胞に発現させることで、光を照射することで神経細胞の状態を変化させることができる。この技術はオプトジェネティクスと呼ばれており、神経学の分野で広く利用されている。ChRのそのものの研究も進められており、ChRは光を受けた後、複数の中間体を経てチャネルが開状態になることが研究により明らかになっている。また、吸収する光の波長が異なるChRも複数報告されている。しかしながら、開状態へと遷移する際の詳細な構造変化や吸収波長が変化するメカニズムなどは報告されていなかった。 本研究の目的はChRの吸収波長、および開状態へと遷移する構造変化に関する詳細な分子メカニズムを解明することである。 2018年は主に、ChRの吸収波長に関する研究を中心に進め、最も長波長に吸収波長ピークを持つChRであるChrimsonの研究を通して、ChRの吸収波長に関する分子メカニズムの一端を解明することに成功した。また、解明した分子メカニズムに基づき、吸収波長ピークをさらに長波長側にシフトさせたChrimsonSAを作成することに成功した。これらの成果はNature communicationに掲載された。 また、開状態に関する研究では、2018年に放射光施設であるSACLAにて時分割測定を行い、一定の成果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年の当初の計画では、Chrimsonの研究をまとめることを目標にしていた。これは達成されたので、この点は評価に値すると考える。また、開状態遷移の解明に関する研究も計画通りに進められている。これらの点から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はChRの構造変化に関する研究を中心に進めていく。2019年度は時分割測定と変異体実験を行い、必要なデータを集めることを計画している。
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