研究課題
昨年に引き続き,鉄マンガンクラストの化学層序を高時間分解能で明らかにするために、乾式研磨法で研磨した試料のmicro-XRF分析およびLA-ICP-MS分析を海洋研究開発機構にて行った。まず、micro-XRF分析で試料全体の元素マップを取得し,その元素マップを基にLA-ICP-MS分析を実施する領域を選定し、平成30年度に開発した手法でLA-ICP-MSを用いた元素マッピングを行った。結果、主要元素からppmオーダーの元素に至るまで、鉄マンガンクラストの成長構造を精度よく示した元素マップの取得に成功した。形成年代を明らかにするために、試料のOs同位体比分析を千葉工業大学で行った。試料のOs同位体比と炭酸塩鉱物のU-Pb年代(昨年度実施)を基にMCMCベイズ推定による形成年代の推定を行い、信頼性の高い鉄マンガンクラストの年代モデルを構築した.LA-ICP-MS分析で得られた化学組成データに対して独立成分分析を実施し,形成年代や形成場に応じた地球化学的特徴の変化を考察した。その結果,風成塵供給量の増加に伴い有用元素が希釈されるだけでなく放射性元素のThが増加する事が明らかになった.また,パナマ海峡の閉鎖に伴う大気海洋循環の変化に対する応答として,低層流の強化による堆積物の削剥や海洋における溶存Co分布の変化が起きていた事を明らかにした.さらに,先行研究で報告された鉄マンガンクラストの年代モデルと比較し,鉄マンガンクラストが全球的にハイエイタスとなる時代が存在する事が判明した.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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