研究課題/領域番号 |
18J21274
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石田 浩貴 九州大学, システム情報科学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 単一磁束量子回路 / SFQ / メモリ・アーキテクチャ / 超伝導 / ジョセフソン接合 / プロセッサ・アーキテクチャ |
研究実績の概要 |
当該年度は,超伝導単一磁束量子(Single flux quantum: SFQ)メモリの基本構造の研究,ならびに,世界でも初となる 30 GHz動作を目指したSFQプロセッサのプロトタイプチップの設計/評価を行った.また,プロトタイプチップのポストレイアウトシミューション結果を研究会にて発表した. 本研究で対象としているSFQメモリのシフトレジスタ型メモリは,FIFO構造による破壊読み出しが基本動作となるため,データの時間局所性を活用できない.そこでシフトレジスタの入力と出力を接続し,データが循環するようなメモリ構造(以下,循環バッファ)を検討した.そして,実現可能性を検討すべく,循環バッファ構造を基本とする命令メモリ,データメモリ,レジスタファイルを搭載したプロセッサのプロトタイプチップの設計を行った.ポストレイアウトシミュレーションでは目標である 30 GHzを超える,最大31 GHzでの正常動作を確認した.その際のプロセッサの消費電力は6.9 mWと見積もられた.これらの結果は国内の研究会,ならびに,国際会議・ワークショップにて発表した. また,実際にチップの試作,および評価を行なった.残念ながら一部の回路動作に不具合があり完全動作には至らなかったものの,概ね基本動作は確認できた.特に演算処理に関しては最大 41 GHzでの正常動作を確認した.現在は完全動作に向け検証と修正を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度における最大の取り組みは,世界でも初となる 30 GHz動作を目指したビットパラレル型超伝導プロセッサの実設計を行い,試作,評価まで実施した点である.これは,新しいデバイスを用いた今までにない設計となっているため,その意義は大きいものであると自負している.レイアウト後のシミュレーションにおいては目標である30 GHzを超える動作周波数での正常動作を確認できた.残念ながら一部の回路動作に不具合があり完全動作には至らなかったものの,概ね基本動作は確認できているためおおむね順調に進展していると感じている.
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今後の研究の推進方策 |
まず,当該年度至らなかったプロトタイプチップの完全動作実証を目指す.現段階ではオンチップメモリの一部に回路動作の不具合が確認できており,その原因解明に努める.そしてプロトタイプチップの修正,再設計を行い,動作検証を実施する. また,提案している循環バッファ型SFQメモリの使用を想定したプロセッサ,あるいは,アクセラレータの論理設計を実施し,実アプリケーションによる電力性能評価を行う.そして,提案メモリの有効性,ポテンシャルを明らかにする. そしてこれらの結果をもとに論文発表を行う.
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