研究課題
本研究はHAS2及びその合成産物である高分子量ヒアルロン酸の機能異常が気道リモデリング形成に及ぼす影響を、HAS2ヘテロ欠損(HAS2+/-)マウスを使用し解明することを目的とする。これまでの研究では2018年度にOVA長期暴露実施後にHAS2+/-マウス群はより重度の好酸球性気道炎症と杯細胞の過形成を認め、IL-17優位の病態形成を認めた。2019年度には、RNA-seq解析、HAS2の発現評価等を行い、慢性気道炎症時には、HAS2+/-マウスおいてHAS2 mRNAおよびその下流のCD44およびTGF-betaの発現が抑制されていること。RNA seq後のパスウェイ解析では、HAS2+/-マウス特異的に変化する遺伝子群ではTGF-β経路の抑制を認め、野生型群において特異的に変化する遺伝子群で認められたEIS2 signal経路の亢進は認められなかった。以上よりHas2機能異常が小胞体ストレス応答機能異常およびTGF-β経路異常をもたらしていることが示唆された。計画最終年度の2020年度はHas2遺伝子異常に伴う治療抵抗性の有無を検証した。その結果、HAS2+/-マウスにおいては好酸球性気道炎症がステロイド治療抵抗性を示すこと。抗IL-17抗体を使用することにより治療抵抗性が解消することを見出した。これらの成果はHas2機能異常を伴う喘息患者の表現型やメカニズムを解明する契機となるだけではなく、抗IL-17抗体の難治性喘息患者への治療適応の可能性を示唆する重要な成果と考えている。上記成果を踏まえ、現在論文投稿を準備中である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
Allergy
巻: - ページ: -
10.1111/all.14715.