研究課題/領域番号 |
18J21379
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 啓吾 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | リダイレクテッドウォーキング / 空間知覚操作 / クロスモーダル / バーチャルリアリティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,ヒトの空間知覚に対して感覚間相互作用および歩行特性が与える影響を検証することで,広大なバーチャルリアリティ空間を限られた実空間の範囲で実際に歩いて探索することを可能にする空間知覚操作手法「多感覚リダイレクテッドウォーキング」を実現することである. 2019年度は強化学習を用いたRDWコントローラの最適化,VRおよびテレプレゼンス下の鉛直方向のRDW手法について実装および検証を行った.また,個々人の感覚特性と空間知覚操作の閾値の関連性について予備的検討を行った.強化学習を用いたRDWコントローラの最適化については,VR空間・実空間の空間構成およびユーザの移動方向・移動速度を入力とすることで,最適なRDW手法およびゲインを出力する強化学習を用いたアルゴリズムの実装・検証を行った.これにより従来は手動で行っていたRDW手法の対応付けを自動化することを可能にした.また,従来手法では困難であった実空間上の障害物や複数人でのRDWについても本手法を適用することができる可能性が示唆された.VRおよびテレプレゼンス下の鉛直方向のRDW手法については,VRおよびテレプレゼンス環境下における鉛直方向の動きにゲインを適用しリダイレクションを行うシステムを実装し,ゲインの閾値の検証を行った.個々人の感覚特性と空間知覚操作の閾値の関連性については,個々人の感覚特性RDW下で生じるVR酔いとの関連に着目し予備的調査を行った結果,視覚刺激に対する感受性が低いほど空間知覚操作に対する違和感が生じづらいことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初期段階の構想から発展し,機械学習を用いたRDWコントローラの最適化や個々人の感覚特性に応じたゲイン最適化の提案など,新規の提案・検証ができている.一方,一部の実験において環境構築に若干の遅れが生じていることから,全体としてはおおむね順調であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に実装した前庭感覚電気刺激による空間知覚操作システムを用いてユーザ実験を行い,前庭電気刺激が空間知覚操作に与える効果について検証を行う.これにより視覚のみを用いた従来手法よりも効果的な空間知覚操作の可能性を検証する.また,本年度に行った予備的検討から示唆された個々人の感覚特性と空間知覚操作の閾値の関連性に着目し,個々人に最適化された空間知覚操作手法の実装・検証を試みる.
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