現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は日本人を対象とした復顔法の確立を目的とする。特に顔を形作る重要な因子である歯列形態と咬合の影響を考慮した顔面の筋群を含めた軟組織厚の調査を行い,客観性のある精度の高い復顔を行うための標準的指標を得ることを本研究の主目的とする。軟組織厚は計測部位によって姿勢の違いの影響を受ける事が予想されるため,立位・仰臥位の2姿勢についても変化を検討した。研究は①計測基準点の設定②軟組織の重ね合わせ③採取した軟組織厚の検証④復顔への応用の4ステップでの遂行を目指している。 現在まで「①;正常位症例1例を使用しCTより骨外形を抽出・計測点の確認・方法論の検証」,「②:①で抽出した骨外形と顔面形状の重ね合わせ、及び軟組織の計測方法を検討する。」ところまでが完了している。 ①については, 正常症例1名のCTデータから骨抽出を行い, 3Dプリンターで模型を製作した。使用する計測点は, 既存する論文で定義が計測者により大きく異なる計測部位が判明したので, 本研究では下顔面に注視し骨の計測で明確にできる点を採用することにした。 ②については、仰臥位と立位で軟組織厚の表面データを採取し、重ね合わせることに成功した。ただし、立位の軟組織データは3Dカメラ(3方向から撮影した者を立体構築するカメラ)を利用する場合は、撮影の手技によって歪みが出現することが多く、仰臥位のデータと重ね合わせる場合に不具合が生じることが判明した。よって重ね合わせで使用する際、歪みがないと判断できる数値を明確にした。また骨表面から軟組織を計測する方法については、骨の微少な凹凸のノイズの影響を受けてしまう問題を内包していたが、情報科学の専門家と相談し、CT像を相同モデル化することで計測方法に活路を見いだした。
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