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2019 年度 実績報告書

建築構造・意匠・施工を総合的に扱う数理的モデルの構築とその最適化手法

研究課題

研究課題/領域番号 18J21456
研究機関京都大学

研究代表者

林 和希  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2021-03-31
キーワード建築構造最適化
研究実績の概要

今年度は離散構造物の最適化問題に強化学習を用いるための数理モデルの開発を行った。まず、前年度から継続して骨組構造の断面の設計や最適化に対してニューラルネットワークを用いた強化学習手法を適用した。学習させたモデルを遺伝的アルゴリズムや粒子群最適化などのメタヒューリスティクスによる確率的な探索に援用することで、より効率的に解空間を探索できることを平面骨組モデルについて確認した。
また、データマイニングを利用して建築構造分野で最先端の研究を行っているスイス連邦工科大学ローザンヌ校のProf. Smithの研究室に滞在し、建築構造物の最適設計に機械学習を導入するための方法を開発するための資料収集・強化学習をベースとしたアクティブ構造の制御手法の開発研究を行った。
さらに、離散構造物をグラフとして扱い、グラフの特徴量を抽出するグラフ埋め込みを用いた強化学習手法を開発した。グラフ埋め込みを用いることで、任意の節点・部材数の離散構造物に対して同一次元数の特徴量を抽出して評価できるようになった。この成果は、意匠・構造・施工性などの多次元での評価を要する建築設計に対してそれらをまとめて考慮した特徴量を抽出できる手法として位置づけられる。これまで特徴量の抽出の困難さのために機械学習の適用が困難であった建築構造設計に対してAIを適用する初期段階として位置づけられる。特にトラス構造の応力制約付き位相最適化問題を対象としたケーススタディを行い、学習させたモデルが任意の規模のトラスについて不要部材を除去するための性能を効率よく発揮することを確認した。また、学習させたモデルを用いた位相最適化の計算負荷が遺伝的アルゴリズムによる最適化と比べて十分に小さいことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨組構造の最適化に手動で設計した特徴量を用いた強化学習手法を援用した研究成果は論文誌Engineering and Computersに掲載された。さらに、離散構造物をグラフとして扱うことでグラフ埋め込みを用いた特徴量を抽出し、その特徴量を用いた最適化手法をFrontiers in Built EnvironmentのComputational Methods in Structural Engineeringに投稿中である。これらの成果は、建築構造・意匠・施工を考慮した複雑な数理的モデルを機械学習手法を通して実現するための初期段階として評価できる。以上の論文誌への投稿に加え、国際シェル空間構造学会(IASS2019)でも離散構造物に機械学習を適用するための定式化手法を発表し、国内外の研究者と積極的な意見交換を行った。以上のように研究成果を積極的に発信し続けており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

これまではケーススタディ的に骨組やトラス構造の最適化問題を定式化し、その問題に対して特徴量の設計手法と強化学習手法を複合したアプローチを適用してきたが、これらの成果をまとめることで、離散構造物に多様な設計要件を考慮した数理的モデルを適用するための定式化手法として大きな枠組みでこれまで行ってきた研究内容を俯瞰する必要がある。したがって、離散構造物の最適化問題というより一般化した問題設定に対してグラフ埋め込みと強化学習を併用した手法をより洗練させ、引き続き国内外に向けて研究成果を発信することを目指す。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] スイス連邦工科大学ローザンヌ校(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      スイス連邦工科大学ローザンヌ校
  • [雑誌論文] Reinforcement learning for optimum design of a plane frame under static loads2020

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Hayashi and Makoto Ohsaki
    • 雑誌名

      Engineering with Computers

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00366-019-00926-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] FDMopt: Force density method for optimal geometry and topology of trusses2019

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Hayashi and Makoto Ohsaki
    • 雑誌名

      Advances in Engineering Software

      巻: 133 ページ: 12~19

    • DOI

      10.1016/j.advengsoft.2019.04.002

    • 査読あり
  • [学会発表] Deep-Q network for truss topology optimization with stress constraints2019

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Hayashi and Makoto Ohsaki
    • 学会等名
      International Association for Shell and Spatial structures (IASS)
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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