研究課題/領域番号 |
18J21594
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚原 浩太郎 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 選挙 / 政党組織 |
研究実績の概要 |
本年度においては、地域史料の収集に力を注いだ。各地域の政治家の旧蔵史料の調査や各自治体における旧役場文書の調査のほか、公立図書館に所蔵されている郷土新聞の調査を行った。地域史料、特に戦後10年ほどの時期における地域史料は散逸・劣化が進んでいることも多いため、史料の保存という観点からこうした調査そのものにも意義が見出せるだろう。 本年度では特に和歌山県において重点的に調査を行った。県北部の自治体の郷土資料館・公立図書館を調査したほか、県立図書館において郷土新聞の調査を、また県立文書館において県会議事録の調査を、それぞれ行った。また、地域の政治家の親族とも連絡を取り、旧蔵史料の有無を確認したほか、聞き取り調査も行った。こうした調査の結果、戦後の地方自治制が地域にもたらした変化や国政・県・市町村各級における選挙の実相が把握されつつあり、これらを取りまとめた上で公開する準備を進めている。 また、他県における調査も進められた。青森県においては、県立図書館にて郷土新聞の調査を行ったほか、長野県では県南地域を中心に旧役場文書・郷土新聞の調査を行った。長野県における調査は、森本州平日記の解題(『東京大学日本史学研究室紀要』第23号(2019年3月)に掲載)として結実した。地域史料のほかにも、政党の事務局関係者の史料や労働組合の全国中央組織に関する史料など、未公刊史料の翻刻に携わり、地域のみならず政党に関連する史料の解読も進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は複数の地域に対する史料調査を行う予定であったが、特定の地域(和歌山県)に対する調査は進む一方で、他地域への調査はほとんど進まなかった。はじめに想定していた以上に地域史料が多く残されており、特に郷土新聞に関して種類・量ともに多く、調査に時間を要した。このため全体的に計画よりも遅れている。また、調査の進捗状況に伴って研究成果のとりまとめなども進んでいない。ただ、史料自体はこれ以前に調査を行っていた他県よりも豊富であり、そこから示唆されることも多い。そのため、研究課題の進捗状況としては「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き地域史料の収集を進める。既に調査を進めている地域に加えて、他の地域に対する調査を進め、併せて地域間の比較分析の糸口を得たい。具体的には、郷土新聞や地域政治家の回顧録など、当時の選挙運動の様相を明らかにし得る史料の探索に取り組む。また地域史料のほかにも公文書などの調査にも力を注ぐ。特に選挙違反事件に関する裁判文書の公開請求を進め、選挙において何が行われていたのかを把握する。以上を選挙に関する事例分析として取りまとめる。 その上で選挙結果に関する定量的な分析を行うためにデータ入力を進める。事例分析で得られた結論がどの程度一般性を獲得しうるか、全国的な選挙結果との比較から分析を進める。以上のように選挙に関する事例分析と統計分析を併せて研究を進めていく。
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