研究課題/領域番号 |
18J21678
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
古市 宗弘 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | colonization resistance / 腸内細菌 / 耐性菌 |
研究実績の概要 |
炎症性腸疾患患者から分離されたクレブシエラを無菌マウスに定着させ、クレブシエラ単独定着マウスを作成した。そのマウスの胃内に5人の健康ボランティアからの糞便を投与した。いずれの便投与でもクレブシエラの菌量は著明に低下し、健常者の腸内細菌の中にはクレブシエラを排除する菌が存在することが示唆され た。 この5つの糞便サンプルのうち、3種類の便(サンプル#F、I、K)から菌を嫌気性下で培養した。F便から単離した37菌株クレブシエラ単独定着マウスに投与すると、F便由来の37菌株は便と同程度のクレブシエラの菌量の低下が見られ た。単離したF由来の37菌株にはクレブシエラを腸管から排除する菌が含まれていると考えられた。 F便由来の37株を投与したクレブシエラ単独定着マウスに、抗生剤(アンピシリン)を飲水投与したところ、クレブシエラの菌量は一時的な増加が見られたがその後減少した。この間の37種類の菌の菌量の推移をqPCRで確認した。アンピシリン投与で消失した株やクレブシエラの動きと無関係に動く菌を除外し18株を選び出した。この18種類の菌をクレブシエラ単独定着マウスに投与してもクレブシエラ排除効果が見られた。また、この18株は他の抗菌薬耐性クレブシエラに対しても排除効果がみられた。Fから単離した菌株セットにはクレブシエラを腸管から排除する能力を持っており、これらをプロバイオティクスと使用することで耐性菌や炎症性腸疾患の新たな治療薬となり得る可能性が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常人の腸内細菌から菌の単離培養を行い、クレブシエラを排除できる菌株セットを同定している。また、その効果についても様々な環境や、他の種類のクレブシエラでも確認できており、治療薬としての臨床応用に向けて期待できる効果が示されつつあり、順調に研究は進展していると言える。現在、その機序がまだ明らかになっていないため、そこが今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
単離した18菌株によるクレブシエラ以外の腸管内病原微生物に対する効果を調べ、有効性の範囲を確認する。 また、18菌株がクレブシエラ排除を行なっているメカニズムの探索を行う。具体的には、メタボローム解析、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析を行い、クレブシエラの排除と関連する物質を抽出し、その抗菌効果を検証する。
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