本年度は、電磁弁を用いた無隔膜衝撃波管の開発を行った。衝撃波/乱流干渉実験に用いることを念頭に置き、乱流の影響を受けた衝撃波の統計データを効率的に確保するために、短時間で繰り返し再現性の高い衝撃波を放出できる衝撃波管の実現を目指した。この装置は、駆動弁にゴム弁を用い、駆動弁に接する補助高圧室に取り付けた電磁弁によって補助高圧室内の高圧空気の排出を制御し、駆動弁を動かす仕組みとなっている。衝撃波管の高圧室は、本研究でこれまで用いてきた衝撃波発生装置のようなタンク状のものではなく、低圧室と同様の管が取り付けられるように駆動弁の形状を工夫した。高圧室を管状にして小型化することで、高圧空気の充填時間を本研究のこれまでの衝撃波発生装置の1/3ほどに短縮することに成功した。また、補助高圧室に電磁弁を1個取り付けた場合と3個取り付けた場合のそれぞれで衝撃波放出実験を50回繰り返し、衝撃波管の開放端から100 mmの位置における衝撃波の圧力波形を圧力センサを用いて計測した。その結果、高圧室と低圧室の初期空気圧力比が10:1の場合、衝撃波のピーク過剰圧の平均値は、電磁弁が1個のとき21.3 kPa、電磁弁が3個のとき22.4 kPaとなった。また、衝撃波のピーク過剰圧の変動係数は、それぞれ0.026、0.014であり、電磁弁を1個から3個に増やすことで衝撃波生成の再現性が向上した。補助高圧室に取り付ける電磁弁の個数を増やすことで補助高圧室の排出口断面積を拡大でき、高圧空気の排出速度や駆動弁の動作を素早くできると言える。上記結果は、電磁弁の個数変化による補助高圧室の排気特性・駆動弁の動作特性の変化が、衝撃波生成の再現性に大きく影響すること表している。
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