研究実績の概要 |
平成31年度は、①生殖細胞(精子)におけるエピゲノム 編集が可能なトランスジェニックメダカの確立と、②正常発生初期胚におけるヒストン修飾リプログラミング動態の網羅的な把握が主な目標であった。 まず①について。生殖細胞でのエピゲノム 編集について、昨年度作成したトランスジェニックメダカは、エピゲノム 編集コンストラクトの精子での高発現を誘導できていなかった。そこで本年度は精子特異的な発現のためのトランスジェニックメダカの改良を行った。ところが、Cre-loxP組み換えを使う改良を試みても、依然としてエピゲノム 編集コンストラクトの精子における高発現を誘導できなかった。そこで代替案として、精子ではなく卵のエピゲノム 編集を試みることにした。未受精卵にエピゲノム 編集コンストラクトをinjectionする系の準備を始め、これまでに未受精卵を効率よく採卵するためのメダカ成魚の飼育条件、未受精卵へのinjection方法の条件、未受精卵のin vitro培養の条件検討を終えている。また、未受精卵injcection用のコンストラクトの作成も開始している。 次に②について。メダカ正常発生におけるヒストン修飾(H3K27ac, H3K27me3, H3K9me3, H3K4me1, H3K4me2, H3K4me3)のリプログラミングの動態を複数の発生ステージ(16細胞期、64細胞期、後期桑実胚期、後期胞胚期)における定量的ChIP-seqを行うことで明らかにした。脊椎動物内での普遍性や種特異性が見える興味深い結果が得られている。また、このリプログラミング動態について、国内・国外の学会において発表を行った。
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