研究課題/領域番号 |
18J21794
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
青山 将己 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 中央競技団体 / 障害者スポーツ / 統合・インクルージョン / 日蘭比較 |
研究実績の概要 |
本研究の総合的な目的は、障害者スポーツ先進国であるオランダと我が国との比較を通し、中央競技団体における障害者スポーツの統合・インクルージョンに及ぼす政策の影響、及び統合・インクルージョンが及ぼす影響を多面的に明らかにすることにある。本年度では、前年度(2018年度)での調査結果を中心に、体育学研究(タイトル「中央競技団体における障害者スポーツの統合・インクルージョン指標の構築:OCIISステージを用いて」)への投稿を行った。この研究では、Fay(1999)によって開発されたOCIISステージを援用し、わが国の中央競技団体における障害者スポーツの統合・インクルージョンレベルを検討することを目的とした(研究Ⅰ)。また、OCIISステージの適応可能性を検証した(研究Ⅱ)。研究Ⅰでは6ステージから成るOCIISステージの仮説を設定し、日本オリンピック委員会に加盟する54正加盟団体における障害者スポーツの統合・インクルージョンレベルを分類した。研究Ⅱでは研究Ⅰで分類されたステージごとに9団体を抽出し、インタビューを実施した。結果、わが国における中央競技団体の統合・インクルージョンレベルは、5つのステージに分類されることが明らかとなった。 また、日本サッカー協会が実施する先進的な障害者スポーツの取り組みに着目し、World Congress of Sociology of Sport 2019での口頭発表を実施した。この研究では、日本サッカー協会と対応する複数の国内障害者スポーツ競技団体(日本アンプティサッカー協会、日本CPサッカー協会、ほか5団体)との間に設置された中間組織「日本障がい者サッカー連盟(JIFF)」についての情報を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「障害者差別禁止法・平等法」を制定していない国として、2019年11月にオランダでのヒアリング調査を実施し、NOC*NSF(オランダオリンピック委員会・オランダスポーツ連盟)、NPC(オランダパラリンピック委員会)、KNVB(オランダサッカー協会)からデータを収集した。各データからは、オランダの国家政策や社会文化的背景等についての情報を得ることができた。国際比較研究という観点から、現時点で「日本サッカー協会×オランダサッカー協会」の比較分析が可能となった。次年度では、「日本パラリンピック委員会(日本オリンピック委員会)」への調査を予定しており、NOC、NPCレベルでの国際比較が可能となる。 他方、より権力を持つ国際オリンピック委員会や国際パラリンピック委員会、国際競技連盟(国際サッカー連盟など)といった組織の影響力も明らかになったことから、これらの組織へのアプローチを行っているところである。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、ヒアリング調査が延期されており、現在見通しが立たない状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は日本・オランダを中心とするヨーロッパ諸国の国際比較研究であるため、新型コロナウイルス感染症による現在の社会状況は、非常に深刻な問題である。受入研究者からは、終息後の調査(夏以降を想定)、もしくはスカイプによるヒアリング調査の可能性についての指示を受けた。また、当初はオランダに加え、「障害者差別禁止法・平等法」を制定し、統合・インクルージョンを推進する国(イギリスなど)へのヒアリングも検討していたが、この点についても実現可能性を鑑みながら判断していくこととする。 並行して、学会誌への投稿については、前述の比較研究に加え、これまで継続して行ってきた障害者スポーツにおける統合・インクルージョン研究の系統的レビューを次年度に発表したい。
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