研究課題/領域番号 |
18J21820
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増井 周造 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | エバネッセント光 / 干渉リソグラフィー / 回折格子 |
研究実績の概要 |
ナノ・マイクロ三次元表面構造の持つ新しい光学的,物理的特性が盛んに研究されており,そのような造形物へ適用可能な加工方法へのニーズも同時に高まっている.そのため,本研究においては,光が干渉した際に生じる干渉パターンを用いて,複雑なナノ・マイクロ構造の造形を目指している.本年度は,干渉パターンを変化させながら,複数回露光する多重露光干渉リソグラフィーに着目した.まず,回転ロイドミラー光学系を用いた多重露光干渉リソグラフィー露光装置を開発し,数十μmと数百nm間隔の干渉縞を足し合わせた2Dナノ・マイクロ構造の造形に成功した.また,造形したナノ・マイクロ構造の回折特性を評価するための2軸回転ステージを用いた光学特性評価装置を開発した.そして,干渉縞ピッチが3:1となる干渉縞の足し合わせで造形される二重周期回折格子の回折特性を解析し,3次回折の回折効率を向上できることを確認した.さらに,先述の光学特性評価装置を用いて,実際に造形した二重周期構造の3次回折光の回折効率が向上することを実験的にも示すことに成功した.さらに,二重回折格子は2つの周期の回折格子の重ね合わせとして働くため,重ね合わせた際のそれぞれの回折効率を制御することが求められている.しかし,回折効率比を設計し,露光エネルギー比を調整する従来のトップダウン的なアプローチでは,回折効率比を変更する時に,もう一度電磁波解析を行う必要がある.しかし,多重露光干渉リソグラフィーのインプロセス計測の結果とポストプロセスでの回折効率の対応関係を明らかにすることで,露光エネルギー比のフィードバック制御が可能なことを示した.その結果,二重周期構造の回折効率比を自在に制御した加工プロセスを実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,干渉パターンを変化させながら,複数回露光する多重露光干渉リソグラフィーに着目した.まず,回転ロイドミラー光学系を用いた多重露光干渉リソグラフィー露光装置を開発し,数十μmと数百nm間隔の干渉縞を足し合わせた2Dナノ・マイクロ構造の造形に成功した.また,造形したナノ・マイクロ構造の回折特性を評価するための2軸回転ステージを用いた光学特性評価装置を開発した.そして,干渉縞ピッチが3:1となる干渉縞の足し合わせで造形される二重周期回折格子の回折特性を解析し,3次回折の回折効率を向上できることを確認した.さらに,先述の光学特性評価装置を用いて,実際に造形した二重周期構造の3次回折光の回折効率が向上することを実験的にも示すことに成功した.さらに,二重回折格子は2つの周期の回折格子の重ね合わせとして働くため,重ね合わせた際のそれぞれの回折効率を制御することが求められている.しかし,回折効率比を設計し,露光エネルギー比を調整する従来のトップダウン的なアプローチでは,回折効率比を変更する時に,もう一度電磁波解析を行う必要がある.しかし,多重露光干渉リソグラフィーのインプロセス計測の結果とポストプロセスでの回折効率の対応関係を明らかにすることで,露光エネルギー比のフィードバック制御が可能なことを示した.その結果,二重周期構造の回折効率比を自在に制御した加工プロセスを実証した.
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今後の研究の推進方策 |
インプロセス計測を用いた多重露光干渉リソグラフィーの露光エネルギー制御においては,レジストの感度曲線,屈折率変化,回折モデルの変化など,様々な物理現象が関係しており,すべての物理的メカニズムが明らかにする必要がある.具体的には,インプロセス,ポストプロセスでの回折モデルの作成,電磁場解析やエリプソメータによる露光時の内部屈折率の変化計測などを行う予定である.
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