研究実績の概要 |
1.二重周期回折格子の回折特性計測 さらに,構築した理論モデル実証のために,多重露光干渉リソグラフィーで造形した二重周期回折格子を自身で開発した回折特性計測装置で評価した.二重周期回折格子では,重ね合わせた2つの周期に由来する回折光がかけ合わさった回折光分布を生じる.さらに,複数の回折光スポットでは,回折効率は106倍以上異なるなど,通常の単一周期回折格子の計測と異なる計測装置の特性が要求されることがわかった.そこで,開発した回折特性計測装置では,高ダイナミックレンジのディタクタを用いて,2軸自動回転ステージにより入射角と計測角を独立に0.1度以下の精度で制御した.そして,得られた回折特性は,構築したスカラー回折理論モデルから計算される回折特性との一致を確認した.
2.サブ波長格子偏光ビームスプリッタの理論モデル構築 また,2020年4月からの国内での緊急事態宣言発令を受け,実験が思うように進まない中でも,2年目までに得られていた,サブ波長格子構造の特異的な低反射ピークを根気強く解析,考察することで,そのメカニズムを明らかにした.そして,従来から知られていた高反射ピークを示す導波モード共振と組み合わせたサブ波長格子からなる偏光ビームスプリッタの理論的なモデルを構築するまでに至った.これらの結果は,米国光学会(Optical Society of America, OSA)の出版するApplied Optics誌へ投稿し,Editor’s Pick(各号10%程度)に選出されるなど,国外でもその研究成果が高く評価されている.
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