研究課題/領域番号 |
18J22206
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
松井 悠樹 鳥取大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | ノメイガ / Hybrid type / タイプII性フェロモン / 分子系統解析 |
研究実績の概要 |
1)ノメイガ類の性フェロモン利用形態の分析: ノメイガ類におけるHybrid type(タイプIとタイプIIの性フェロモンを併用する種)の普遍性を明らかにするために、本年度までに31種のノメイガ類を性フェロモンの抽出~カラム分画~生物検定に供試した。このうちほとんどの種はタイプI画分に対し高い応答を示した(=Hybrid typeではない)一方で、Hybrid typeである可能性が高いと考えられたのはアヤナミノメイガ、チビコブノメイガの2種のみであった。このことから、ノメイガ類においてHybrid typeは派生的な形質であることが示唆された。 2)ノメイガ類の分子系統樹の構築: 昨年行ったミドコンドリアDNAを用いた解析では解像度の高い系統樹が得られなかったため、本年度は核DNAとミトコンドリアDNAを併用した解析と、MIG-Seq法による解析を行った。前者により得られた結果は未だ予備的なものであるが、ミドコンドリアDNAのみを用いた解析よりも解像度の高い系統樹を得ることができた。後者については96種を用いて解析を行ったが、信頼性の高い系統樹は得られなかった。 3)ノメイガ類におけるHybrid typeの進化様式: 1で得られた結果および先行研究による結果を、2で得られた予備的な系統樹にマッピングしたところ、Hybrid typeはノメイガ類の中で複数回進化した可能性が示唆された。一方で、同一属の中でHybrid typeとそうでない種が混在する例は見られなかったことから、Hybrid typeの種は特定の系統に偏る傾向にあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの結果により、1) ノメイガ類においてHybrid typeは派生的な形質であること、2)Hybrid typeはノメイガ類の中で複数回進化したと考えられる一方で、特定の系統に偏る傾向にあることが示唆された。これは当初の予定以上の進捗状況だと考える。しかしながら、生物検定に供した種すべてを含む分子系統樹は構築できていないことから、全体の進捗状況は1ではなく2だと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1) 昨年までの実験でやり残している種について生物検定を行い、性フェロモン利用形態を判定する。
2) 核DNAとミトコンドリアDNAを併用した分子系統解析を行い、生物検定に供した種すべてを含む分子系統樹を構築する。
3) 1で得られた結果を2の系統樹にマッピングし、ノメイガ類におけるHybrid typeの進化様式についてさらに考察する。
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