研究課題
軟X線磁気円二色性吸収分光(XMCD)によるホイスラー合金のスピン依存した状態密度の抽出Co基ホイスラー合金は、デバイスへの応用が期待されている。最近XMCDの遷移確率を利用し、スピン依存したCo 3dの非占有状態を抽出する試みが行われた。しかし、励起先の違いによってに働く静電引力がスピン方向に依存して異なるため、スピン電子状態の抽出が行えなかった。本研究ではCo2MnGe (Ga)ホイスラー合金においてGa (Ge) L2, 3吸収端におけるXAS/XMCDを行った。さらに、XMCDスペクトルと第一原理計算による非占有側のGe (Ga)におけるd軌道のPDOSを比較した。その結果、選択則に基づいてXAS/XMCDスペクトルの計算を行ったところ、実験結果を再現した。さらにスペクトルから交換分裂を見積もり、Co 3dスペクトルにフィードバックすることによって補正込みの非占有PDOS抽出方法を提案した。レーザー光を用いたスピン分解光電子分光装置の開発マニピュレータの導入により、高精度な位置依存測定が可能となった。またレーザー強度が不安定であったため、原因究明を行い、それにより除震台が除震できていない可能性があることが分かった。しかしコロナ禍の影響もあり、スピン測定までは遂行できなかった。奇パリティ秩序をもつ強相関物質の角度分解光電子分光強相関電子系では、軌道自由度に関連する物性が重要なテーマとして議論されてきた。近年、奇パリティ多極子秩序に起因する新奇物性が注目を集めている。その舞台としてCeCoSiが挙げられる。しかし電子状態を直接観測した例はない。そこでCeCoSiの電子状態を調べるため角度分解光電子分光を行い、3次元的な電子状態、ノーダルライン形成、Co 3d軌道がEF近傍で支配的、そしてCe 4fとEF近傍のCo 3dが弱く混成していることが明らかとなった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/61483