研究課題/領域番号 |
18J22445
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
AYEDOUN Emmanuel 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 第二言語コミュニケーション意欲支援バランス / WTC会話戦略モデルの精緻化 / 学習者特性を考慮したWTC支援 |
研究実績の概要 |
本研究では,次の3つのサブ目標を設定して研究を推進する. ①.WTC向上支援に目がけた会話戦略モデルの構築と親近感のある会話エージェントの実現 ②.学習者の特性,会話の難易度等,WTC向上度の相互関係を明らかにするWTC成長モデルの提案 ③.学習の場での長期的な実践によるシステム効果の実証・授業実践モデルの構築 上記の①に関しては,これまでの研究で構築してきたアニメーション型会話エージェント及び会話戦略モデルの実装によるWTCへの有効性の研究成果を学術論文としてまとめ,2018年7月に人工知能と教育に関する最も権威ある国際雑誌 IJAIED (International Journal of Artificial Intelligence in Education) に掲載された.また,①で提案した支援手法の精緻化,及び②の実現に向けた調査実験を実施した結果,学習者の嗜好性やWTCの習熟度とシステムの効果の相互関係が明らかになり,学習者の特性を考慮した適応的支援の実現可能性・有用性に関する新たな知見を得た.この研究成果は,2018年11月に開催された人工知能学会 第84回 先進的学習科学と工学研究会で発表した.そして,上記の調査結果の分析より,本研究で提案する学習支援システムの学習効果を最大化するためには,どんな学習者に対してどこまで支援を提供し,どこから支援を保留すればいいのかという適切な支援バランスの実現方法を考察した.その結果,学習者の特性(WTC習熟度や会話戦略嗜好性)を考慮した会話戦略の適用バランスに関する新たな知見が得られた.これは今後の真正な教育現場におけるシステムの導入と運用に向けて,多様な学習者に柔軟かつ頑健に対応できる支援の実現に向けた有用な知見である.この研究成果は今年6月に開催される人工知能と教育に関わる国際会議AIEDで発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに①会話戦略モデルの精緻化および②教材開発のためのオーサリングシステム開発に取り組んだ.②の進捗においてはやや遅れが生じているが,これは①について想定した以上の世界的に見ても有意義な成果が得られたことで,追実験と分析を掘り下げて行ったことによる.①に関する成果としては,本研究で提案した会話戦略モデルおよびそれにもとづいて行った調査をまとめた学術論文が本研究分野の最も権威ある国際雑誌IJAIED (Int’l J. of Artificial Intelligence in Education)に採録されたことがある.これは提案した仕組みの新規性と,会話エージェントと学習者の間でなされる情動的コミュニケーションの成立の観点からの調査が,最先端の学術的知見として認められたことを意味している.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,再利用可能な動的会話制御を可能とするオーサリングシステム開発を促進し,学習シナリオの充実化を図る. また,本研究で取組んでいる第二言語学習者 WTC の向上は,人の内的側面の変容を目指すものであるため,長期的な実践的取り組みにより調査することが必要だと 考える. そのため,第二言語習得論を専門とする講師の指導の下で,授業実践の調査を実施する. 実証研究の状況を把握しながら,会話戦略が システム設計意図通りに適応できているかどうか,システムのオーサリンで負担が減少されているかどうか,会話シナリオ教材の問題点を分析 し,洗練・拡充する.
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