(CuGaS2)-(ZnS)をフラックス法により調製し,数百nm-数μmの範囲で,ある程度サイズを制御したサンプルを得た.数百nmの金属硫化物微粒子は,RGO-CoOx/BiVO4を酸素生成光触媒に用いたZスキーム型光触媒系のみならず,ドロップキャスト法により作成する金属硫化物光カソードを用いた光電気化学系の高性能化にも有効であることを見いだした.フラックス法で合成した本金属硫化物微粒子を用いて光電気化学的二酸化炭素還元を行ったところ,水素と一酸化炭素の混合ガスがカソードセルから得られた.そして,本光カソードは,従来のCuGaS2を元とする金属硫化物光カソードよりも安定に駆動することがわかった. SrTiO3:RhおよびBiVO4を懸濁させて可視光二酸化炭素還元も行なった.その結果,水分解の水素と酸素の生成に加えて二酸化炭素還元生成物である一酸化炭素が得られた.そして,AuおよびAgをSrTiO3:Rhへ担持すると一酸化炭素生成活性が向上した.本Zスキーム型二酸化炭素還元に対するpH依存性を確認したところ,pH4付近においてZスキーム型二酸化炭素還元が進行し,中性および強酸性条件ではほとんど反応が進行しなかった.反応後の粒子懸濁状態を光学顕微鏡で観察すると,pH4付近ではSrTiO3:RhとBiVO4が凝集していたのに対し,中性および強酸性では凝集がみられなかった.そのため,粒子の凝集がZスキーム型二酸化炭素還元の進行に重要であることがわかった.また,SrTiO3:Rhを光カソードに用いた光電気化学的可視光二酸化炭素還元も進行した.さらにSrをCaで置換した光カソードを用いることで,CO生成選択率が向上することがわかった.
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