研究課題
本研究の目的はΛ(1405)粒子の内部構造を解明し、ひいては反K中間子と核子の束縛エネルギーを不定性なく決定することである。SPring-8/LEPS2ビームラインにおいて、高輝度高偏極度を有するγ線ビームを用いた光生成反応の測定からこれを目指す。2018年度は本研究の要となるLEPS2ソレノイドスペクトロメータの開発を進めた。粒子識別に必要な飛行時間検出器 Barrel Resistive Plate Chamber (BRPC) の開発・整備を行った。BRPCのプロトタイプを作製し、性能評価も行った。時間分解能 65 ps(σ)、検出効率 99%と実験の要求を満たすことを確認した。また、開発における研究結果とBRPCのプロトタイプの性能評価の結果は論文にまとめ、学術雑誌に投稿した。現在プロトタイプをより改善した構造のBRPCを製作している。実験に必要な台数が揃うのは2019年度4月ごろであり、性能を確認した後、ソレノイド磁石中にインストールをする予定である。粒子飛跡検出器 Time Projection Chamber の開発も進めた。ビームを用いたコミッショニングランを行い、その解析を進めた。ソレノイド磁場をかけたデータを用いた性能評価を行い、設計通りであることを確認した。また、取り付けられた波形取得のための回路系の読み出し速度を向上させた。その下流にある飛跡検出器 Drift chamber も同様にコミッショニングランのデータを用いて、解析コードのルーチンを開発した。今後はパラメタを調整していく予定である。さらにもう一台の DC を追加した。
2: おおむね順調に進展している
2018年度は飛跡検出器を用いたコミッショングランを行い、データ取得を行なった。このデータを用いた解析コードの開発が進んだ。また、飛行時間検出器も実機の構造を決定し、現在大量生産を進める段階になっている。今後は他の検出器の増設を進めつつ、データの解析からパラメタの調整を行なっていく。
飛行時間検出器の大量生産を進めつつ、同時に性能評価を行なっていく。要求を満たすことを確認した検出器は随時スペクトロメータにインストールしていく。また回路系の整備もしていく。2019年度には飛跡検出器群とともにビームテストを行う予定である。検出器のキャリブレーションを行い、運動量・粒子識別の精度を向上させていく。また、Aerogel Cherenkov conter といった検出器の開発も進めていく。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 925 ページ: 188~192
https://doi.org/10.1016/j.nima.2019.02.014