本申請者は呼吸に関わる肺内の高機能領域を避けて照射することで、主たる呼吸機能を担っている領域を保護することで副作用を減らすFunctional radiotherapy(F-RT)という技術に着目し、F-RTの中核を担うCT肺換気機能イメージング(CTVI)に関する研究を行ってきた。 これまでに、そのCTVIを臨床利用に展開するために、①品質管理(Quality Assurance:QA)肺構造模擬ファントムの設計・開発、②Deformable Image Registration (DIR)パラメータがCTVIに及ぼす影響、③各病院に導入されている市販のDIRソフトウェアによるCTVIの比較、④CTVI作成システムの開発を行い、これらの結果は第32回高精度放射線外部照射部会学術大会及び、European Congress of Radiology 2021(ECR)にて発表した。 さらに、Medical Physics(Impact Factor: 2.617)及びPhysica Medica(Impact Factor:2.24)に投稿し、採択された。 本年度は、CTVI作成システム開発のために、ボクセルベースで量子ノイズがCTVIへ及ぼす影響について調査した。はじめに、CT画像に含まれるノイズに着目した。本ファントムを撮影し、画像処理によってノイズをできるだけ抑えた画像と通常の画像からそれぞれCTVIを作成した。CTVI(ノイズ大)におけるJDの平均値と標準偏差は1.09±0.29、CTVI(ノイズ小)におけるJDの平均値と標準偏差は1.34±0.27であり、マンホイットニーのU検定では、p値は0.01以下となり、有意差を示したことから、量子ノイズを含むCTVIは肺換気機能を過小評価している可能性を示唆した。
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