研究課題/領域番号 |
18J22717
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 勇樹 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 海馬 / 場所細胞 / 側坐核 / マルチユニット記録 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、報酬量の予測に基づいて行われる行動選択と、その基盤を担う神経活動との相関関係・因果関係を明らかにすることである。動物の将来の経路を表象する海馬と、報酬系からの神経活動の同時記録を用いて、「海馬で表象される将来の経路-報酬系の活動-その後の経路選択」に相関関係があるかを検討する。 本年度は主に行動試験系の設計と、海馬からの神経活動の記録を行った。 まず、行動試験系には場所嗜好性試験を用いた。これまでに広く使われている行動試験系であるが、条件付けに必要とされる日数が長く、電気生理学的手法との相性が良いとは言えない状況であった。そこで、より短期間で条件付けが可能となる条件を検討した。結果、部屋の構造や、薬物の投与間隔などを調節し、従来よりも短期間で条件付けを行うことに成功した。 次に、この場所嗜好性試験中の海馬神経活動を記録した。マルチユニット記録法を用いることで、複数の海馬神経細胞の発火を自由行動下のマウスから記録することに成功している。現在までに1匹のマウスから最大30細胞の発火活動を同時に記録することに成功している。今後、この記録したデータを解析することにより、場所と報酬の連合が神経活動レベルでどのようにして記述できるかに迫る。さらにその価値を外部から操作することが可能か、さらにその操作によって動物の行動に影響が生じるかについて研究を行う。この研究は報酬の予測に基づいた動物の行動と、海馬で生じる神経活動の因果関係に迫る点でこれまでに前例のない知見となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は安定した行動試験系の確立、行動試験中のマウス海馬からのマルチユニット記録に成功した。さらには記録したデータの解析にも着手しており、おおむね当初の計画の通りに進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は課題遂行中のマウスから海馬と側坐核の同時神経活動記録を行う。そのために、現在使用している電極セットを改変し、2領域に対して同時に電極を刺入可能な形状にする。同時記録から得られたデータを解析し、海馬で生じる神経活動と、側坐核で生じている神経活動の関係を探る。さらに、光遺伝学的手法を用いて側坐核の神経活動を操作する手法を確立する。
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