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2018 年度 実績報告書

脳活動デコーディングを用いたプログラム理解の神経情報処理基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18J22957
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

幾谷 吉晴  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2021-03-31
キーワードプログラム理解 / 脳活動 / fMRI / 専門性 / 脳デコーディング
研究実績の概要

(1) 脳活動データの収集(完了): Expertグループ,Middleグループ,Noviceクループの3群それぞれ10名の被験者のfMRI脳活動データを収集した.2017年7月から2018年8月の期間で,合計45名(パイロット実験3名,事情により除外もしくは実験失敗した12名を含む)の脳活動計測実験をCiNetにて実施した.実験に成功した30名(10名*3グループ)のfMRI脳活動データを用いて,以降の分析を進めている.

(2) 脳活動テータの分析(完了): 実験では,脳デコーディンクを用いて,脳活動データから本人か見ていたソースコード片の種類をどれだけ予測できるかを調べる.この調査により,ある被験者の脳活動パターンが,どれだけソースコートに関連する情報を反映しているかを定量的に評価できる.加えて,脳活動パターンに反映される情報量をグループ間で比較することで,それぞれのグループの脳活動パターンにどのような違いか現れるかを確かめられる.分析の結果,Expert-Noviceにおいて有意な脳活動パターンの差か見られた.

(3) 実験結果の論文化(進行中): 論文を神経科学系雑誌へ投稿するために,これまでの成果の取りまとめと文章化を進めている.現状では,IntroductionおよびResultsの執筆を完了しており,今後はDiscussion の内容の文章化を進めていく.2019年5月末まてに論文全体の草稿を完成させ,その後は本学内部の関係者および共同研究先であるCiNet西本Gの了承を得るステップへ向かう予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年度は,脳活動デコーディングを用いたプログラム理解研究の推進に必要となる,脳活動データの収集に取り組んだ.特に,fMRIを用いたデータ収集を30名分(10名 * 3群)行い,学術論文の執筆に着手するに至った.具体的には,収集データを基に,ソースコード上で表現されているアルゴリズムの種類を脳活動から読み出すことができるか否かを検証するとともに,プログラミングの専門性レベルの異なる3群間での差異分析も行った.また,国際会議5th CiNet conference にて,それら成果を取りまとめたポスター発表を行い,神経科学分野の最先端研究者と議論や意見交換を活発に行った.現在は,同会議において研究者からいただいた意見等を踏まえ,学術論文の執筆に励んでいる.加えて,脳活動データと同じ生体情報の一つであり,脳活動データと親和性の高い「視線」に着目した研究にも着手している.今後,異なる時間的・空間的分解能を持つ脳活動と視線という2つの観点から,プログラム理解の認知活動を探るアプローチにも進展が見られると期待される.以上より,2018年度において本研究プロジェクトは「おおむね順調に進展している」と判断できる.

今後の研究の推進方策

(1) ここまで得られた成果の取りまとめ・論文化: 論文を神経科学系雑誌へ投稿するために,これまでの成果の取りまとめと文章化を進めている.現状では,IntroductionおよびResultsの執筆を完了しており,今後は,Discussion の内容の文章化を進めていく.2019年5月末まてに論文全体の草稿を完成させ,その後は本学内部の関係者および共同研究先であるCiNet西本Gの了承を得るステップへ向かう予定である. 投稿後の査読対応も含めて,2019年度中に採録されるように尽力する.

(2) プログラマの脳におけるソースコードの意味表象の定量評価 : これまでの脳デコーディング手法では,プログラムの意味的カテゴリを,脳活動データから読み出すことに成功した.しかし,どのようなソースコード上の記述やパターンが,脳全体においてどのように表現されているかについては,全く解明できていない.一方で,近年,code2vec に代表されるような,意味表現を獲得するように訓練したニューラルネットワークを用いて,ソースコードの意味内容を離散的に表現するような手法がいくつも提案されている.本研究では,ニューラルネットワークベースの意味表現空間と,脳活動空間のマッピングを基に,プログラマの脳におけるソースコードの意味表象の定量評価を実行していく.

(3) 脳・視線データを活用した機械学習モデルの構築: これまでプログラマの生体情報から,人間のプログラム理解時の認知活動を推定する試みを行ってきた.加えて,プログラマ自身の能力レベルによって,脳活動が異なるパターンを示すことが分かってきた.そこで,発展的な取り組みとして,専門性の高いプログラマの生体情報(脳や視線データ)を機械学習モデルに入力として与えることで,従来の機械学習モデルのパフォーマンスを上回るような人工知能を作り出すことへ挑戦していく.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Programming Expertise Depends on Fine-tuned Visual Cortex Specialized for Program Source code2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshiharu Ikutani, Takatomi Kubo, Satoshi Nishida, Hideaki Hata, Kenichi Matsumoto, Kazushi Ikeda, Shinji Nishimoto
    • 学会等名
      5th CiNet conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Toward Imitating Visual Attention of Experts in Software Development Tasks2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshiharu Ikutani, Nishanth Koganti, Hideaki Hata, Takatomi Kubo, Kenichi Matsumoto
    • 学会等名
      Eye Movements in Programming (EMIP2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] ブロックチェーンを用いたソフトウェア情報の組織間共有2018

    • 著者名/発表者名
      幾谷吉晴,石尾隆,吉上康平,畑秀明,松本健一
    • 学会等名
      FOSE2018 第25回ソフトウェア工学の基礎ワークショップ

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公開日: 2019-12-27  

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