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2018 年度 実績報告書

アセチル化を介した栄養状態応答機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18J23090
研究機関東京大学

研究代表者

若月 大晃  東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2018-04-25 – 2021-03-31
キーワードアセチル化 / MAPK / 細胞死
研究実績の概要

アセチル化を介したASK1の活性制御機構に着目し解析を行っており、今まではアセチル化を介してASK1のキナーゼ活性が上昇することを示唆するデータが、主に過剰発現系による実験の結果得られていた。しかし、より生理的な条件に近い内在性レベルでの実験を行なった結果、むしろASK1はアセチル化を受けることでキナーゼ活性の低下が引き起こされていることを示す実験結果が得られた。さらに、今までは定常状態における解析しか行うことができず、ASK1のアセチル化が具体的にどのような刺激の下で働いているかは明らかにできていなかった。しかし、今年度の解析から、酸化ストレス下においてASK1のアセチル化がキナーゼ活性の調節に寄与している可能性を示唆するデータが得られた。酸化ストレスは栄養状態が低下あるいは過剰になった時に生じることから、栄養状態の変化において酸化ストレスを通じてASK1のアセチル化が変化し、キナーゼ活性が調節されるというモデルが推測された。これまでの解析より、酸化ストレス化においてASK1は細胞死を誘導することが明らかになっていることから、ASK1のアセチル化を介したキナーゼ活性の調節機構が酸化ストレス依存的な細胞死に影響しているか検討を行なった。その結果、ASK1の脱アセチル化酵素の候補として考えているSirtuin 2を発現抑制した際にはカスパーゼ活性の低下が確認され、ASK1と同様の傾向を示すことが明らかになった。そこで、酸化ストレス下にはSirtuin 2-ASK1経路が働くことで細胞死が誘導されていると想定し、二分子が組み合わさってカスパーゼ活性が上昇しているか検討した。その結果、Sirtuin 2依存的な細胞死の促進が、ASK1の阻害剤処置によってキャンセルされた。この実験結果から、酸化ストレス依存的な細胞死においてSirtuin 2-ASK1経路の必要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特別研究員申請時にはASK1がアセチル化を受けることでキナーゼ活性が上昇することを想定して解析を行ってきたが、検討を重ねた結果むしろアセチル化を受けることでASK1のキナーゼ活性の低下が引き起こされている可能性が示唆された。そのため今まで想定していた研究の道筋を変更する必要に迫られた。しかし、今まで定常状態におけるASK1のキナーゼ活性への影響しか評価できていなかったが、今年度の解析によって、酸化ストレス下においてアセチル化を介したASK1の活性制御が行われていることが示唆された。このことにより、生理的または病理的な環境下におけるASK1のアセチル化を介した活性制御機構の意義に対してアプローチして行くことが期待できるようになった。さらにアセチル化サイトの同定に関しても、すでに質量分析系を用いた解析は終了しており、変異体を用いた解析からアセチル化サイトの候補の絞り込みは進んでいる。

今後の研究の推進方策

現在までにASK1のアセチル化サイトの完全な同定に至っていないのが最大の問題点であり、早急に解決しなければいけない点である。これまでの解析で用いてきた、汎アセチル化抗体を用いたアセチル化の検出系は頑強なものでなく、刺激依存的なASK1のアセチル化の変化やKR mutatntにおいてアセチル化の減弱が確認できていない。そこでこれらを解決するために部位特異的なアセチル化抗体を作製する予定である。キナーゼ活性や細胞死への影響から勘案した結果、ある一部位のアセチル化が重要でないかと推察されていることから、この箇所の特異的抗体を作製している。この抗体を用いてアセチル化の変化の検出に成功した場合には転移酵素の過剰発現や発現抑制を行なった際のアセチル化状態を確認する。さらにはASK1のアセチル化の病理的意義に迫るため、がん細胞などにおいてASK1のアセチル化の亢進が確認できないかなどの検討を行い、病態モデルに適応できないか検討をしていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] アセチル化を介したASK1の活性制御機構の解析2018

    • 著者名/発表者名
      若月大晃
    • 学会等名
      第17回 次世代を担う若手ファーマ・バイオフォーラム2018

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公開日: 2019-12-27  

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