| 研究課題/領域番号 |
18J23175
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
石原 佐季 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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| キーワード | 粒界 / セラミックス / 添加元素 / TEM / 双結晶 / アルミナ |
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| 研究実績の概要 |
本年度は主に，「遷移金属元素を添加したアルミナ粒界の原子構造に粒界形成雰囲気が与える影響」と「異種元素添加がアルミナ多結晶体の異常粒成長現象の発生に与える影響」に着目した研究を行った．
一点目の研究内容の実施状況：遷移元素を添加したアルミナ粒界に関しては，欠陥形成反応や，添加元素のイオン価数が周囲の雰囲気に敏感に変化すると予測され，それに伴い粒界原子構造の変化，粒界の特性変化が予測される．そこで本研究では遷移元素であるTiを添加した，粒界性格の等しい二つのモデル粒界を大気雰囲気下と還元雰囲気下の二種類の雰囲気中で作製した．その原子構造と添加元素のイオン価数を走査透過型電子顕微鏡（STEM）観察およびSTEM-EELS法により調査した．その結果，どちらの雰囲気中で作製された粒界に関してもTiの粒界偏析が確認された．しかしながら，予想に反して，Tiが単独で粒界偏析する場合には，Tiの価数と偏析原子構造は粒界形成時の雰囲気に依らないことが見出された．
二点目の研究内容の実施状況：アルミナの焼結において異常粒成長現象を抑制するとされているMgOと異常粒成長を促進するとされているCaO，SiO2が与える影響に着目し，これらの元素が表面構造に与える影響を調査した．まず，アルミナの安定面である(0001)面から数度傾斜したアルミナ単結晶オフカット基板を３枚用意した．そのうち一つはCaSiOxを形成した後，もう一つはMgO薄膜を形成した後，残りの一つは表面を清浄に保ったまま，熱処理を施し，熱処理後の表面形状を原子間力顕微鏡および透過型電子顕微鏡，走査透過型電子顕微鏡により調査した．その結果，CaSiOxには表面の再構成を促進する効果があり，MgOには相対的に安定な面方位を変化させる効果があるということが示唆された．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は，当初の計画であった，遷移元素を添加したアルミナ双結晶を雰囲気制御下で作製し，原子構造を観察することができた．さらに，異常粒成長現象に関与すると考えられている添加元素に関しても研究を進めることができた．本年度は，これらの元素がアルミナ粒界原子構造に与える影響を調査するのに先立ってアルミナ表面に与える効果を調査した．これらの結果に基づき，次に作製する双結晶を決定することができ，順調に進展しているといえる．
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| 今後の研究の推進方策 |
これまでの研究では，添加元素種によってアルミナ表面のモホロジーが変化することがわかった．今後は双結晶を作製し，粒界に対しても，添加元素が同様の影響を与えるのかを調査する．さらに，これまでの研究では添加元素がモホロジーに与える影響はわかったがこれらの要因はわかっていない．今後は，これまでに作製した試料の最表面の原子構造を観察し表面状態を特定することで，添加元素が表面モホロジーに影響を与える機構を明らかにしていく．またアルミナの焼結においては焼結時の雰囲気も焼結体の特性を決める重要な因子の一つである．今後は，粒界形成時の雰囲気が粒界構造に与える影響を調査すべく，種々の双結晶を雰囲気制御下で作製し，観察する予定である．
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