研究課題/領域番号 |
18J23198
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥村 亮太 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 受信端末駆動型MACプロトコル / マルチホップネットワーク / F-RIT / Wi-SUN / 低消費電力 |
研究実績の概要 |
まず,Wireless Smart Utility (Wi-SUN) Japan Utility Telemetering Association (JUTA) プロファイルとして標準化された,受信端末駆動型Media Access Control (MAC) プロトコルであるFeathery Receiver Initiated Transmission (F-RIT) について,計算機シミュレーションや実機実験によって通信成功率や消費電力に関する基礎特性評価を行った.また,実機における送信・受信動作の切り替えに必要な時間を考慮した,詳細な干渉モデルによる理論解析手法を提案した.実機実験結果から,送信・受信動作の切り替え時間による通信特性の劣化が発生していることを示すとともに,提案理論解析手法により実機を用いた場合と同等の特性が得られることを示した.さらに,家庭内向けのInternet of Things (IoT) システムが複数存在する環境を想定し,すでにWi-SUN Home Area Network (HAN) として普及が進む,MACプロトコルとしてCarrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance (CSMA/CA) を用いた無線通信システムが同一周波数を使用する場合におけるF-RITの特性について評価を行った.一般的なデータ送信頻度においては異種無線通信システムの共存が可能であることを実機実験により示すだけでなく,提案理論解析手法による評価も行い,異種システム共存環境においても理論解析により実機と同様の特性が得られることを示した.これらの成果について,IEEE Consumer Communication & Networking Conferenceなどで発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定ではマルチホップネットワークについての研究を開始する予定であったが,Wi-SUN JUTAプロファイルの標準化を考慮し,標準に準拠したプロトコルの評価を優先した.その中で,当初計画していなかった理論解析による評価や,2年目以降に計画していた異種無線システム共存の評価について成果を得ることができた.また,Wi-SUN JUTAプロファイル準拠F-RITの評価の際に得られた知見を元にすでにマルチホップネットワークの研究を開始しており,今後,成果を発表する予定である.以上のことから,概ね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
屋外環境において,通信環境の変動や従来経路選択制御手法に起因して発生する諸問題を解決し,より高信頼,低遅延,低消費電力なネットワークを実現する新規経路選択手法の提案や評価に取り組む.データ送信頻度や収容端末数,端末設置密度等,様々な環境を想定し,データフレームへの干渉フレームの衝突や,複数端末送信動作の競合といった,受信端末駆動型Media Access Control (MAC) プロトコルで特に問題となる現象の発生を緩和する手法を提案し,比較手法との比較評価により,提案手法が有効な環境を明らかにする.
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