本年度は、前年度確立されたハミルトニアンラーニング手法のより実践的な運用を目指して、スキームの改良などを行った。 昨年度までの成果でハミルトニアンラーニング運用の有効性が示されたが、本年度においてはこのスキームをより我々の行っている実験(ダイヤモンドNV中心に対する量子制御)の状況に則したものへ改良した。前年度までのアプローチが推定精度上限を高めることを念頭に置いていたが、このアプローチでは実験時間推定時間ともに無限大へと発散していくことが問題となった。そこで今年度からアプローチを変えて、推定精度の目標を設定し、その目標に対する機械学習、実験の効用最大化を目指した。この見地に基づいたスキーム改良によって、実験時間やNV中心の発光取得量等の現実的な制約を反映して、情報論的に最大の効率の元学習が行えるようになった。 また、前年度より導入したGPGPU大規模並列計算がプログラム上不適切であったことも判明した。それらの見直しにより、計算挙動の安定化やハミルトニアンラーニングの正答率の向上にも成功した。クラウド上のGPU提供サービスの利用等、さらなる計算量確保の手段も模索した。
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