研究課題/領域番号 |
18J40011
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中島 麻由佳 新潟大学, 新潟大学医歯学系, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 歯周炎 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
多くの疫学研究より歯周炎がメタボリックシンドローム関連疾患のリスクを高めることが示唆されているが,そのメカニズムについては不明な点が多い。近年,それら疾患の発症・進行が腸内細菌叢の変動と関連していることが相次いで報告されている。申請者らは代表的な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis口腔投与マウスモデルを用いて,歯周病原細菌が腸内細菌叢を変動させ,それに伴う代謝性内毒素血症の誘導により全身性の炎症とメタボリックシンドロームの一因であるインスリン抵抗性を誘導することを明らかにし,歯周炎が全身疾患リスクを高める新たなメカニズムの可能性を世界に先駆けて報告するに至った。 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は腸内細菌叢の変動と関連があることが報告されているメタボリックシンドローム関連疾患の一つであるが,病態形成の詳細なメカニズムはこれまでのところ明らかになっていない。そこで本研究では,NASHモデルマウスへ歯周病原細菌を口腔投与し,NASHの病態のうち特に重要な肝線維化の誘導を評価すると共に,歯周病原細菌による腸内細菌叢の変動に着目し,歯周炎のNASH病態形成における影響とそのメカニズムを解明することを目的とした。 本年度は,研究計画に則り,①NASH/歯周病原細菌口腔投与モデルマウスの作成および,②①モデルマウスにおける,歯周病原細菌口腔投与がNASH病態形成に及ぼす影響の評価を行った。その結果,①モデルマウスにおいて,歯周病原細菌投与により肝臓組織中のトリグリセリド,ヒドロキシプロリン量が増加すると共に,肝線維化関連遺伝子発現の上昇を認め,肝脂肪変性と線維化が亢進することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は,当初の計画通り,NASH/歯周病原細菌口腔投与モデルマウスの作成に成功し,同モデルマウスを用いて,歯周病原細菌の口腔投与がNASH病態形成に及ぼす影響の評価を行った。その結果,歯周病原細菌投与によりNASH病態形成が進行し,歯周病原細菌の中でも特にPorphyromonas gingivalisがその重症化に関与する可能性が示唆された。 また,上記の研究成果は,2019年度の春季学術大会での発表を予定しており,概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,歯周病原細菌投与がNASH病態形成を進行させるメカニズムに関して,腸内細菌叢の変動及びそれに伴うMetabolic endotoxemiaと腸管免疫に関する解析を行い,明らかにしていく予定である。
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