研究課題/領域番号 |
18J40024
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
太子 のぞみ 同志社大学, 心理学部, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢ドライバー / 免許返納 / 運転中止 / 運転継続 / 意思決定 / 質的 / 適応 / 緩衝 |
研究実績の概要 |
本研究の主な目的は、生涯発達心理学の観点から、高齢運転者の加齢に伴う運転行動の変化及び事故リスクを低減させるための適応方略を明らかにすること、そして運転中止後のネガティブな心理社会的影響を緩衝するための適応メカニズムを明らかにすることであった。これらの研究によって、加齢発達の適応メカニズムの解明に学術的に貢献するとともに、発達段階に応じた交通安全対策を講じて問題解決を図ることを目指している。 昨年度行った、普通自動車運転免許証を自主的に返納するという適応パターンを呈した高齢運転者の免許返納を意識したきっかけから免許返納に至るまでの経路、および免許返納後の適応についてのインタビュー結果から、その経路をたどる複線径路等至性アプローチ(Trajectory Equifinality Approach: TEA)を用いた質的内容分析を進めた。また、現在普通自走車運転免許証を所有している高齢者に対しても面接を実施し、免許返納を意識するきっかけ等についてのインタビュー結果から、KJ法を用いた質的内容分析を行い、発表を取りまとめた。 今後、ソーシャルサポートの観点から、免許返納に関する意思決定や返納後の心理社会的適応をに効果的な方法を明らかにするたために、高齢者本人だけでなく家族や友人を中心とした周囲の関係者を対象とした調査及びインタビューを行う予定である。そのために、周囲の関係者の選定条件について先行研究及び過去の調査を参考に検討を行った上で、新たにオンライン調査で実施するアンケート項目の選定およびオンライン調査の設定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症のため、当初予定されていた時期に高齢者を対象に対面方式での実験及び面接を実施することが困難となったために実施が延期されたため、現在までの研究の達成度はやや遅れていると考えられる。 しかしながら、高齢ドライバー及び免許返納者の調査及びインタビュー内容について分析を進め、成果発表の準備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
免許返納者および家族を中心とした周囲の関係者に対する調査項目の選定および面接方法について、対面式以外の方法で実施することを考案した。まずはオンライン会社のFreesyというシステムを利用した調査項目の選定および調査画面の作成について準備を進め、Web上で調査を実施し、周囲の関係者と高齢者本人の意識の相違点や関連について検討を行う予定である。また免許返納者および家族を中心とした周囲の関係者に対する面接調査については、記述式のWeb調査上で一部実施した上で項目を絞り、電話を用いた調査等へと変更し、当初想定していたプロセスを明らかにする分析手法からカテゴリーを明らかにする分析手法へと変更して分析を進める予定である。
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