研究課題/領域番号 |
18J40070
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高柳 妙子 早稲田大学, 国際学術院, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 就学前教育 / アフリカ / ジェンダー / 子ども像 / 質的調査 |
研究実績の概要 |
第一に、ケニアを始めとするアフリカ諸国における子ども像、就学前教育、子育て方法、親子関係、就学前教育政策について関連文献を収集し、先行研究をレビューした。 第一回目現地調査を実施することができた。ナロック県にある政府系のA小学校付属の幼稚園を視察し授業観察を行った。また教師たちへのインタビューを実施し、新カリキュラム導入状況を確認し、新しい教科書とカリキュラムがすべて手元に届いていないこと、教材不足であることを確認した。当初は、村の学校の教師へのインタビューを計画していたが、A小学校において、幼稚園の親たちとの面談に参加することができたため、この機会を利用して15名への親たちへのインタビューを実施することができた。 この調査結果は分析して、4月17にサンフランシスコで開催されるアメリカ比較教育学会で口頭発表する予定でいる。ナイロビ市内でもケニヤッタ大学内にある小学校付属の幼稚園を視察し幼稚園教師2名にインタビューすることが出来た。 2018年9月1日より1年間の予定で、シドニー大学人文学部教育社会福祉学科に客員研究員として所属し、就学前教育研究を専門とするフェネッチ准教授の指導により、子ども像「The Image of Child」論について研究を深め、途上国における就学前教育について文献レビューを行い、研究理論の構築に努めている。 4月20日現在、世界的に署名な学術書の出版会社である、Routledgeに提出する出版予定の書籍の校正に取り組んでいる。シドニー大学に提出した博士論文を書籍化することで契約を締結しているものである。加えて、特別研究員としての第二年度の調査研究の準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、ケニアを始めとするアフリカ諸国における子ども像、就学前教育、子育て方法、親子関係、母親学級、について関連文献を収集し、先行研究をレビューした。2018年9月1日よりシドニー大学人文学部教育社会福祉学科に客員研究員として所属し、就学前教育研究を専門とするフェネッチ准教授のもとで、子ども像「The Image of Child」論について研究を深め、インタビュー調査の質問項目を作成することができたのは大きな進展と言える。加えて、アフリカにおける就学前教育について文献レビューを行い、研究理論の枠組みがほぼ完成した。これに基づいて、初年度に、ケニアにおいて事前調査(2018年8月)と第一調査(2019年2月)が実施でき、その調査結果を2つの国際学会(オセアニア比較教育学会、北米比較教育学会)で発表できたことにより、同分野の研究者と広く意見交換ができたことは評価できる点である。これらの意見交換の結果や助言は、2年度目のフィールドワークと調査結果の分析に大いに役に立つと考える。 加えて、今回の就学前教育をテーマとした研究により、ケニヤッタ大学の同分野の研究者や政府関係者ともネットワークが広がり、今後の研究の広がりに期待が出来る。また、2019年には、単著本が出版される予定であり、これは、国際比較教育研究に貢献するものと確信している。
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今後の研究の推進方策 |
2年目では、就学前教育や子育て支援事業を実施する教育委員会、幼稚園、自治体、社会福祉団体にインタビュー調査を行い、就学前教育や子育て支援事業の目的やあり方、活動内容、子育て支援の在り方について調査する。また、保護者に対するインタビュー調査を行い、就学前教育に対する個人的・社会的意義の意味づけ、乳幼児の発達観、子ども像、理想的な親子間、育児観について、当事者の生の声を得ることに努める。両者の認識の類似点と相違点を明らかにする。 1年目に得られた政策担当者や研究者へのインタビュー調査の分析結果と2年目に運営者や保護者に対して行ったインタビュー調査の分析結果を、日本比較教育学会、英国教育学会、アフリカ学会等で発表し知見の共有を図る。調査研究報告書の作成と、国内外の学術誌(Comparative Education 等)への投稿を行うことにより研究の妥当性を問う。
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