研究課題/領域番号 |
18J40070
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高柳 妙子 早稲田大学, 国際学術院, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 就学前教育 / 保護者の教育観 / 子ども像 / アフリカ / フィールドワーク / 農村部 |
研究実績の概要 |
2019年8月にケニアのナロック県において、約10日間のフィールドワークを実施した。村へフィールド調査に行くと、学校付属の幼稚園が快く受け入れてくれたおかげで、4校訪問して、教師へのインタビューを行うことが出来た。また、うち1校では、保護者会の開催時とタイミングよく重なり、15名の保護者へインタビュー調査を行うことが出来た。村には、就学前教育コーディネーターが設置されていることがわかり、学校長を通して連絡してもらったが、都合が合わず今回はインタビューをすることができなかった。前年度に引き続き、2019年4月から8月末まで(下半期)、シドニー大学教育社会福祉研究科に客員研究員として所属して理論研究や共同研究を行った。その中で、The University of Sydney Comparative and International Education Forum にメンバーとして参加して、私自身のケニアでの農村部での就学前教育の研究について調査報告の発表をした。2019年9月8日に帰国して、1年間の任期を終了した。現在は、初年度、2年度に行ったフィールドワークのデータを整理して、シドニー大学マッコーミック上級講師とケニヤッタ大学就学前教育科長ワンガリ博士と共著論文を執筆中である。校正をして、International Journal of Educational Developmentに投稿する予定で進めている。 Informal Learning and Literacy among Maasai Women;Education, emancipation and empowerment. Singapore: Tailor and Francis, Routledge.を単著で出版することが出来た。査読付き論文2本が採択されて雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に引き続き、シドニー大学人文学部教育社会福祉学科に客員研究員として所属し、子ども像「The Image of Child」論、国際開発における就学前教育論について研究を深め、ケニアにおけるインタビュー調査の質問項目を作成した。2019年8月に現地調査を実施して幼稚部へ通学させる親たちへのインタビュー調査を実施することが出来た。その調査結果を2つの国際学会(国際開発学会、北米比較教育学会)で発表できたことにより、同分野の研究者と広く意見交換ができたことは評価できる点である。これらの意見交換の結果や助言は、3年度目のフィールドワークと調査結果の分析に大いに役に立つと考える。 加えて、今回の就学前教育をテーマとした研究により、ケニヤッタ大学の同分野の研究者や政府関係者ともネットワークが広がり、現在、シドニー大学マッコーミック上級講師、ケニヤッタ大学就学前教育学科長ワンガリ教授と共著で論文を執筆中である。また、2019年9月には、単著本が英国のRoutledgeより出版された。これは、国際比較教育研究に大きな貢献をしたと確信している。
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今後の研究の推進方策 |
1年目と2年目の調査で得られたデータをもとに、政策の背後にある保護者観と、保護者や運営者との意見を比較検討することで、就学前教育を当事者の視点から据え直す作業を行う。それまでの調査で明らかになった点を踏まえ、さらに掘り下げる課題について、9月前後に補足的な調査を実施する計画でいるが、ケニアでもCOVID-19の影響があるため、慎重に再計画をする必要がある。研究成果は分析をして、国内外の主要な学会(比較教育学会、アフリカ学会、開発学会等)で発表し、Early Childhood Education等の学術雑誌へも投稿する。また申請者の有する国際援助機関等とのネットワークを利用し、保護者のニーズに沿った就学前教育のあり方について援助実務者や板橋区の子育て支援委員会等に対する提言も行っていく。
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