研究課題/領域番号 |
18J40096
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
蓮尾 絵美 大正大学, 心理社会学部人間科学科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | リズム / 時間知覚 / 多義的な知覚 |
研究実績の概要 |
音楽や言葉のリズムを捉えることは、日常の聴覚コミュニケーションにおいて不可欠である。リズム知覚を支える基礎として、次々に鳴る音の時間的規則性を必ずしも意識せずとも(自動的に)捉える仕組みがあると考えられるが、このことは実験的にまだ明確になっていない。本研究では、このような‘自動的な’リズム知覚形成に関わる脳内処理を探る。
初年度となった本年度は、本研究課題の題材となる「多義的なリズム知覚」の生じ方を調べるための心理実験を行った。多義的なリズム知覚とは、物理的に同一の音列から二通りのリズム知覚が生じる現象である。この現象に関しては、まだ実験的なデータが得られていなかったため、まずは幅広い時間範囲の刺激を用いて心理実験を行い、リズム知覚が多義的になりやすい時間条件を明らかにした。この結果をもとに、次年度以降に行う脳波実験で用いる音刺激の時間条件を決定する予定である。
本年度行った心理実験については、国内研究会で発表した。また、論文を執筆し、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、予定していた心理実験を行うことが出来、今後の研究に向けての重要なデータを得ることが出来た。また、この実験について研究会で発表して有益な助言を得ることが出来、国際雑誌に投稿するための論文を執筆することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度行った心理実験と同様の音刺激を用いて、脳波計測を行う予定である。まずは、心理実験の結果をもとに、最もリズム知覚が多義的になりやすい音刺激を選ぶ。多義リズム刺激を用いて脳波計測を行うのは初めてであるため、脳波計測の予備実験を行い、脳活動が観察しやすい刺激を慎重に選ぶ。次に、‘自動的な’リズム知覚形成について検討するため、選んだ音刺激の中に音の高さの異なる逸脱音を挿入し、実験参加者が音に注意を向けない状態で脳波を測定する。この逸脱音に対して生じるミスマッチ陰性電位の振幅を指標として、多義的なリズム知覚が脳内での自動的な処理の段階で生じていたかどうかを検討する。
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