研究課題/領域番号 |
18K00001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
千葉 惠 北海道大学, 文学研究科, 教授 (30227326)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 信 / ロゴス / エルゴン / 力能 / 完成 / 実働 / 予定論 / 信に基づく義 |
研究実績の概要 |
主に拙著『信の哲学』第二章のアリストテレス様相存在論の研究ならびに英語版作成に従事した。イエール大学でD.Charles教授らと議論し、新説の説得に従事した。その議論を介して改善したものを、同教授のFestschrift(Oxford University Press)刊行予定の寄稿論文としてM.Paramatzis(Oxford),D.Bronstein(Georgetwon Univ.)に送付した。タイトルはAristotle's Modal Ontology- entelecheia (completeness) as the medium between Logos and Ergon-である。現在編集者からのフィードバックを待っている。パウロ研究としては「ローマ書」の個人訳(『信の哲学』下巻455-483頁)の全16章のうち6章までを英語に翻訳した。これを引き続き行い、あらゆる議論の基礎テクストとして用いたい。その他、信の哲学をめぐる講演、研究発表を『信の哲学』(2018.5.15プラス1ピースの読書会、北大)、『信の哲学』(5.17凸凹神学会、枚方マラナタ教会)、「『信の哲学』-福音と律法」(6.2クラーク聖書研究会主催、北大)、「アリストテレスにおける運動の定義」(6.30「プラトン、アリストテレスにおける時空と運動および論証知」(本科研主催)北大)、「信の哲学ー啓示神学と自然神学の媒介」(7.15北大哲学会、北大)、「パウロの選びの教説における信念と行為の比例性テーゼ」北海道基督教学会(7.16北星学園大学)、恵廸寮祭(11.4北大)、「新約学の現状と『信の哲学』」(11.5北海道聖書学院)、「アンセルムスの神の存在論証」(11.11中世哲学会、聖心女子大学)などで行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ローマ書」の英訳に関しては、数人の英語翻訳者のテクストを参照しているが、それぞれ訳者たちの工夫が見て取れて、とても興味深い。それでもVulgata版という最も古典的なラテン語訳の誤りのため、調べた限りすべての翻訳が誤訳してしまっている。そのことを認識するにつけ、この仕事の意義を見出している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も『信の哲学』所収の「ローマ書」ならびに第二章の翻訳ならびに改善を続ける。そのうえで第三章「パウロにおける信の根源性の論証ー「ローマ書」の意味論的分析に基づく当該性規準とその帰一的解釈ー」ならびに第四章「パウロの心身論ー心魂の内奥に何が生起するのかー」(430-836頁)の翻訳に従事する。これらの主題についてオスロ大学、オックスフォード大学での共同研究を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
イエール大学出張のさいの支払いが最終的に平成30年度70万円のうち10270円残となった。次年度はオスロ大学、オックスフォード大学出張を予定しており、その旅費にあてる。
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